珍しく一日余裕ができ、以前取材で知った真庭市の隠れた紅葉名所を訪ねた。まずは往時の大山みちが通る鳥居峠。今は下を米子自動車道・鳥居トンネルが貫いている。
昔は大山を中心に東西南北に鳥居があった。ここは南の鳥居で、今も二本の石柱が立つ。黄や赤に染まった蒜山高原と遠くそびえる大山。ここから山を拝んだ先人たちをしのびながら、手を合わせた。
そばにこけむした石塚があった。芭蕉の百回忌に際し地元の俳人らが立てたと、案内板に記されている。その時から、すでに二百年以上がたつ。時を刻んだ石塚と葉を舞い散らせる風音に世の無常を思う。
龍宮岩は、神代地区の国道沿いにある。石灰岩が新庄川の流れに浸食されてできた奇岩と色づいた木々が見事な秋景色を見せてくれる。岩の上に腰を下ろし、忙しい日々をしばし忘れてのんびりと時を過ごした。
「あなたのこころがきれいだから/なんでもきれいに/見えるんだなあ」。書家で詩人の相田みつをさんは記している。何かと気のもめる昨今だが、美しいものを美しいと感じる心の余裕は大切にしたいものである。
近くの公園とか古里の山とか、ひそかな紅葉スポットが誰にもあるだろう。少し時間を工面し、懐かしい思い出など繰りつつ行く秋を惜しんではいかが。