浅妻千映子のおいしい日常

みんながおいしいと感じる味は?お店は?
そんなことを考えながら食べているうちに
食の経験値も上がりました
大切に味わって、気持ちよく食べたいお料理と
心から幸せになれるお店をナビゲートします!

浅妻千映子(あさづま ちえこ)

profile

フードジャーナリスト
1972年東京生まれ。聖心女子大学卒業後、3年間のOL生活を経てフリーライターに。グルメマンガ『キングスウヰーツ』全5巻(ヤングサンデーコミックス/小学館)の原案、『dancyu』(プレジデント社)や『経済界』(経済界)の連載「粋なあなたに連れて行かれたい店」などを執筆。著書に『食べたきゃ探そう』(時事通信社)、『パティシエ世界一』『江戸前握り』(光文社)ほか。『東京最高のレストラン』(ぴあ)の評価者のひとりでもある。

食べる幸せを教えてくれるのは“いつまでも食べていたい料理” 気のおけない友人と肩の力を抜いて食べるランチや我が家で開くホームパーティーで作る料理も「おいしい!」を教えてくれる大切なエッセンス。料理は一度食べたら消えてしまうはかないものだから、ひとつひとつを大切に食べなくちゃもったいないとついよくばってしまうんですよね。

おいしく食べるための工夫は絶対に惜しみません!

“食”に手を抜けないのは、子供の頃からの習性!?
自腹の食べ歩きが念願の単行本に

子供の頃から、ちょっと食べるだけでも、どうしても手を抜けなくて。ファストフードを買いに行くと、「ポテトはあの店で買って、ドリンクは向こうで、ハンバーガーはここでなくちゃ!」って、ひとつひとつ買い集めて食べるのがクセだったんですね。

フリーのライターになって、「何が書きたいの?」と聞かれたとき、やっぱり思い浮かぶのは食関連でした。「感動した味やお店をみんなに知ってもらいたい」と、熱く語っていたのか、知人たちが編集者を何人も紹介してくれました。最初の単行本『食べたきゃ探そう』では93店を紹介していますが、企画の段階ですでに、ほとんどのお店を食べ歩いていました。もちろん自腹ですよ! 私は食べた分だけ太る体質なので、この頃は怖くて体重計に乗れませんでしたが…(笑い)。当時は、いままで食べてきたものを、自分が書いて伝えられるのが、うれしくて仕方なかったんです。

5年ぶりのお鮨が食の経験値を教えてくれた


ライターになって5年ほどたった頃、ある隠れ家的なお鮨屋さんに行きました。そのときはただおいしいとしか感じなかったのですが、先日、5年ぶりにその店を再訪したときに、衝撃を受けてしまいました! いちばん驚いたのは、「はまぐりの握り」。さらりとした共汁(ともじる/はまぐりのだし)をかけて、お茶漬けのようにくずしながらいただくんです。こんなに贅沢で、粋な食べ方があるんだ…と、ベテランの技にため息をつくばかりでした。

5年前の私には、この店の技を感じ取れる力がなかったんですね。でもいまは、ちゃんとわかって、感動できる。5年間、数々のお店に行って、さまざまな料理をいただいてきたことが、私の“食の経験値”を少しずつ上げてくれたのだと思います。

 

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