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【主張】婚外子国籍訴訟 時代の流れくんだ判決だ

2008.6.5 03:12
このニュースのトピックス主張

 日本人とフィリピン人との間に、婚姻関係なしに生まれた子供の日本国籍取得裁判で、最高裁大法廷は違憲判決を出した。多様化する現代の親子関係などを十分に考慮し、社会の流れに沿った判断と言えよう。

 裁判長の島田仁郎・最高裁長官はじめ、15人の裁判官のうち12人が違憲状態を支持するという判断を示した。これにより、訴えた子供と同じような境遇の子は全国に数万人いるとされ、日本国籍取得に道が開けたわけで、今回の最高裁の判決を歓迎したい。

 大法廷で法律が違憲と判断されたのは、平成17年9月の公職選挙法の一部規定(海外に住む日本人の選挙権制限)を憲法違反として以来で、戦後8件目だ。

 非嫡出子(婚外子)が国籍確認を求めたのは、結婚していない日本人男性とフィリピン人女性の間に生まれた後、父親に認知された子供10人である。

 1審の東京地裁は原告の主張を認める違憲判決を言い渡した。しかし、東京高裁は憲法判断は避け、原告敗訴の判決を下した。原告にとっては、最高裁で再逆転勝訴となったわけだ。

 現行の国籍法によると、出生の時に父母のどちらかが日本人なら、同法2条1項で結婚の有無にかかわらず、子供は日本国籍を取得できるとされる。

 今回の訴訟のように、日本人の父親と外国人の母親との間に生まれた子供は、国籍法3条1項で母親が妊娠中に父親が認知した場合は、国籍取得できるが、出産後に認知されたときは、父母の婚姻が取得要件となっている。

 大法廷判決は、父母の婚姻の有無を国籍取得の要件としていることについて、「合理的な理由のない差別で、憲法14条1項に違反する」と明確に憲法違反との初判断を下した。

 多数意見の中で、島田長官以下多くの裁判官が、子供の人権に最大限配慮し、また諸外国の動向なども参考にしている点は、今後の民事訴訟にも影響を与えよう。

 国籍法は昭和25年7月に施行され、59年に改正された。判決では争点となった婚姻有無の要件規定はその時点では合理的だったとの認識を示した。

 しかし、その後のわが国の家族生活や親子関係に関する意識の変化に言及した点は、国民にとってよくうなずける。子供の利益を最優先した判決と理解したい。

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