日米の公立病院改革の現状などで議論
日本の医療関係者を対象とした「日米公立病院改革セミナー」(日米文化センター主催)が11月17日、東京都内で開かれた。全米公立病院協会(NAPH)のラリー・S・ゲージ会長の基調講演の後、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長と総務省自治財政局地域企業経営企画室の濱田省司室長を交えたパネルディスカッションが行われ、3人のパネリストが日米両国の公立病院改革の現状などについて意見を交わした。
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あすか製薬、ジェネリック世界6位と合弁会社設立 基調講演でゲージ会長は、「米国政府が運営する大学病院が、内外からさまざまなプレッシャーを受けている」と説明。米国の公立病院が抱えている問題点として、▽医師など医療従事者の不足▽資金不足▽患者側がQOL向上を求める動き―などを挙げた。さらに、米国では毎年10万人の患者が医療過誤で命を落とし、特に大都市圏の大きな大学病院では、患者の待ち時間が長くなっている現状も指摘した。
その一方で、人材が多様化している大学病院を中心に、組織変革を行っている公立病院も数多く存在する。
ゲージ会長は、改革で生まれ変わった公立病院のシステムの一例として、「デンバー・ヘルス&ホスピタル・オーソリティ」について説明。この病院はコロラド州のデンバー市が運営していたが、半官半民の施設を造ってもよいという州法が成立したため、政府の管轄下にありながら、独立型の施設として生まれ変わった。その結果、人員全体の再編と5億ドルの新たな資金の調達を実現。運営に関しては、徹底して無駄をなくす「トヨタ方式」を取り入れるなどの組織改革を行い、全米のモデルケースになったという。
一方、公と民の医療施設の連携については、私立ボストン大の病院と公立病院の「ボストン・シティー・ホスピタル」が合併し、民間で非営利の「ボストン・メディカル・センター」が誕生した例などを挙げた。
講演後、日本医業経営コンサルタント協会の盛宮喜編集長をコーディネーターに、ゲージ会長ら3人のパネリストが意見交換し、公立病院に民間の競争原理を取り入れることによるモラルハザードなどについて議論した。
更新:2008/11/17 21:17 キャリアブレイン
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