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「国籍法改正案」緊急対策会議で語られたこと

2008/11/17 18:50

 

 

   

 

 本日、午後4時から衆院第一議員会館で開かれた「国籍法改正案」緊急対策会合に行ってきました。会合の中身については、別の記者が記事にすることになったので、私は興味深く感じた部分について記そうと思います。それは、出席した14人の議員の多くが、口々にネットを通じた反応について言及したことと、国会議員たちが閣議決定に加わった閣僚を含め、本当にこの改正案の中身について知らなかったという事実などです。間抜けな話ですが、これが現実でしょう。

 

 会合では、まず無所属の平沼赳夫氏が「今はインターネットの時代で、毎日全国から大変な量のこの法案に関するご意見が寄せられている。無茶苦茶な歯止めのない法案だ」とあいさつし、赤池誠章氏がこれまでの経緯を説明し、米ニューヨーク州弁護士の資格を持つ牧原ひでき氏が世界各国での移民の家族呼び寄せ時に実施されているDNA鑑定について簡単に説明しました。

 

 牧原氏は、「調べてみると、スイスは従来の日本の法律(国籍法)と全く同じだ。ドイツは今回の日本と同じような改正を行ったところ、偽装認知などの事例がみられた。日本はドイツと同じ失敗を繰り返すことになる。DNA鑑定は有効であり、世界的にも事例があることだ」と語っていました。会合で配布された各国の移民の家族に対するDNA鑑定の様態は以下のようでした。

 

 ・イギリス…1990年代から実施されている。法的根拠はないが、移民行政によって行われている。口腔組織を採取し、政府により権限が与えられている機関で分析する。費用は、国が負担する。

 

 ・イタリア…2005年3月から実施されている。移民に関する統一法典を改正する2004年10月18日のデクレに法的根拠がある。血液または唾液を採取し、政府により権限が与えられている機関で分析する。費用は、申請者が負担する。

 

 ・オーストリア…2006年から実施されている。法的根拠及び詳細は不明。

 

 ・オランダ…2000年2月1日から実施されている。1999年6月23日に、国会でDNA鑑定が認められ、2000年1月27日に関係法が公布された。口腔組織を採取し、政府が権限を与える3つの機関で分析が行われる。費用は申請者が支払うが、親子関係が証明されれば、払い戻しを受けることができる。

 

 ・スウェーデン…開始時期については不明。現在、法的根拠はない。血液を採取し、国立法医学研究所にて分析する。費用は、申請者が負担する。なお、DNA鑑定に関する法制度を現在策定中である。

 

 ・ドイツ…開始時期については不明。現在、法的根拠はないが、ドイツへの外国人の入国及び滞在に関する2004年8月5日の法律に拠って行われている。唾液を採取し、政府により権限が与えられている機関で分析する。費用は、申請者が負担する。なお、DNA鑑定に関する法制度を現在策定中である。

 

 ・デンマーク…1994年から実施されている。1996年からさらに強化されて実施されている。外国人法第40条Cが法的根拠である。血液を採取し、コペンハーゲン大学で分析する。費用は、政府が負担する。

 

 ・ノルウェー…1999年から実施されている。法的根拠は不明だが、DNA鑑定の態様については、2002年の通達に従って行われている。唾液を採取し、イギリスの政府認定機関に送付され、分析される。費用は、国が負担する。

 

 ・フィンランド…2000年6月から実施されている。法的根拠は、2000年3月1日に改正された外国人法である。血液または口腔組織を採取し、ヘルシンキ大学または政府が認定する医学研究所で分析する。費用は、国が負担するが、分析の結果、血縁関係が認められない場合には、費用は申請者が支払う。

 

 ・ベルギー…2003年6月から実施されている。法的根拠はない。血液を採取し、ブリュッセルにあるエラスムス病院で分析する。費用は、申請者が負担する。

 

 ・リトアニア…詳細は不明。

 

 これは移民の話なので、日本の場合と単純比較はできないかもしれませんが、それにしても割と最近になってDNA鑑定を導入したり、制度の整備に取り組んだりしているところが多いようですね。さて、その後、自由討議に入ったのですが、こんな意見が出ていました。

 

 中川義男氏 この法案に関するメールはすごく多いですよ。選挙民から非常に抗議が多い。それを見て私も「この法案はなんだ」と気が付いた。地元でいろいろ問題になって初めて分かった。選挙、選挙でほとんど国会に来ていなかったときの話だ。

 

 戸井田とおる氏 今までは法案に問題があると、必ず(党内建て続きなどの)どこかで引っかかって、総務会でもめて部会に差し戻されたり、常識ある人が止めていたが、今回はそうならなかった。

 一般の人はこの法案について知らない。人権擁護法案のときの反応とも今回はケタが違う。きのう午後6時半にアップしたブログにさっき見たら300件の書き込みがあった。この法案が通ったら、国会は何やってるんだということになる。

 

 稲葉大和氏 私は総務会の一員だが、総務会での法案説明の中で、この法案はそれぞれの先生の意識の中にほとんどなかった。私はうちの息子から「お父さん、この法案はおかしいよ。ちゃんと発言してよ」と言われて発言したが、私の発言に意識を持ってくれたのは中山太郎先生だけだった。

 その後、どんどんホームページなりブログなりにヒットしてくるようになった。それだけ国民のみなさん、特に若い人の方が理解している。

 

 中川氏 メールを見ると、書き込む人は間違いなく自民党を支持するような人たちだ。そういう人たちがあれだけ反応していることに全く応えないとなると、選挙にも影響する。間違いなくそう思う。

 

 木挽司氏 自民党の手続きの在り方にすごく不満だ。今、自民党が存在意義を問われている。こんな自民党を何とかしたい。

 

 土屋正忠氏 自民党も政局に振り回されている。この問題もちょうど、選挙で気もそぞろのときにちょこちょこっとやって、いつのまにかこうなった。

 

 平沼氏 解散総選挙という状況で、みなさん関心がなかった。私のところにも、閣僚から連絡があった。「あんた、閣議で花押を押したんじゃないの?」と言ったら、「流れ作業で分からなかった」と言っていた。麻生太郎だって知っているわけないよ!

 

    

 

 会合終了後、議員会館の受け付けでは、この日、国籍法改正の動きを何とかストップさせたいと集った20数人の若者が待ちかまえていて、赤池氏や戸井田氏と話していました。みな真剣な面持ちで議員らの話に耳を傾け、自ら意見を述べていました。

 

 残念ながら、今のところ明日の衆院法務委員会、衆院本会議での法案採決、衆院通過の流れは変わっていません。ただ、きょう集まった議員たちは明日の朝まで、法務委員長や法務委員会筆頭理事、各委員らに申し入れを行い、働きかけを続けるということです。明日の委員会では稲田朋美氏が質問に立つとのことで、私も審議を見ようと考えています。

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コメント(18)

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2008/11/17 19:26

Commented by leny さん

阿比留さんお疲れ様です。

しかし、閣議決定で「○くら判」って・・・。ちょっとげんなりです。

 
 

2008/11/17 19:33

Commented by くぼた さん

こんばんは。
阿比留様

お忙しい中貴重なエントリにお礼申し上げます。
ネットでしか今のところ情報は分かりません。テレビのニュースでも報じません。イザ記者ブログでも国籍改正法案に関するエントリは見れません(小生の見た限り)阿比留さん、貴方がみんなの関心のある事柄をこうしてエントリしてくれています。本当に国を憂い国民の為の政治を努力してくれている政治家諸氏の動きも把握できます。明日は福岡も真冬並みの寒さになるそうです。PCの前で法務委員会のネット配信映像をしっかりと見ます。

ありがとうございました。

 
 

2008/11/17 19:34

Commented by yyhmst さん

阿比留様、速報ありがとうございます。
今日はこの事で頭が一杯でした。
記者会見もいつニュースでやるのかと気を揉んでいたら…
緊急党首会談で飛んでしまったようです。
この速報がなければ、今日眠れなかったかも(笑)
お疲れの所、更新ありがとうございました。
それにしても、いくら大量に法案が次々に上がるといっても
●クラ判は…頂けないですよ。あぶり出しにでもなってたんでしょうかね?(失笑)

 
 

2008/11/17 19:39

Commented by newblood さん

国会議員も、閣議決定に加わった閣僚も知らなかった法案、その計り知れない混乱のツケを払わされるのは、何も知らされていない国民です。そして、この日本そのものです。これほど無責任な政治は許せません。

この会合に集まった議員の先生方には、最後まで阻止に向けて頑張って頂きたい。

 
 

2008/11/17 19:45

Commented by medic21 さん

♪国籍法、DNA、河野太郎で検索すると、ほぼ多数が反対意見。
賛成は見事にXX系、特定の8時間お雇い投稿者。新聞社系で阿比留さん以外ほとんど書いていないのも訝しい。平沼氏や戸井田氏・稲田氏に期待するしかないのか。続報期待します。

 
 

2008/11/17 19:55

Commented by 非理法権天 さん

各国の詳細有難うございます。

当該法案担当課の法務省民事局民事第一課の言うには、DNA鑑定は外国人差別になるからできないと言ってましたが、他国で現にDNA鑑定されている事に関して法務省は何を言っているのかと今まさに思いました。

自民党DNA鑑定は外国人差別になるからと言ってました。

本当に彼らは日本国民の血税を享受しながら、何を調べ、どういう回答を導き出しているのかと憤りを感じます。

また当該法案担当課の法務省民事局民事第一課の若い役人は「日本国は日本国民のためにあるのか、外国人のためにあるのか」という問いに対して「日本国民のためでもあるし、外国人のためでもある」と私にハッキリと言いました。

日本政府は日本国民と外国人を並列に見ているという顕著な事例と言えます。

日本国の為に献身されてこられた私達日本人の祖先は外国人の日本での生活の向上、権利増大の為に日本国の為に血や汗を流して献身されてきたのでしょうか。

ちなみに衆議院民主党政調に聞きましたら、当該法案は党として賛成と明言していました。

 
 

2008/11/17 20:12

Commented by mamasan さん

真実を取り上げていただいてありがとうございます。
応援しております。日本の文化を守りたいです。
産経新聞の皆様に期待しております。

 
 

2008/11/17 20:20

Commented by hiro さん

この法案は気になっていたのですが、時間もなく... この記事で、改めて新聞にはない「速報性」を実感しました。明日もよろしくお願い致します! Thank you!

 
 

2008/11/17 20:30

Commented by dodemo さん

阿比留様、ご苦労様です。


議員さんたちの発言を読むにつけ、阿比留さんがいつもおっしゃっている、
「国会議員ほど有権者の声を気にしている者はない」
という言葉の意味を実感いたしました。

今回ばかりは私も、センセイ方にメールを送りまくりました。
多少なりとも効果があれば良いのですが。

 
 

2008/11/17 20:33

Commented by yinguo さん

詳しいご報告、なぜかとても感動しました。
まだ、政治の中枢に国民に向かい合ってくれていて、必死になって動いてくれている人がいるのが伝わりました。

現在、テレビも新聞(サンケイも新聞ですが)も情報が遅くて、偏向がかかっていて、大事なものが報道されずに、年々、日本語や情報の間違いが増えていっています。
天気予報や地震速報ですら、ネットから携帯に転送されるものが一番早く詳しいです。

今回のことで、ネットの回線でつながっている人の多くが、ごく普通の市井の人々であることが、政治家の皆さんに、また少し実感されたのではないでしょうか。

政治家の皆さんもどうかネットを通して、国民に直接意見を述べられたり、こくみんの声に耳を傾ける機会を増やしてほしいです。ネットなら、よほどのことがない限り、FAXの用紙がつまったりなどという面倒はありません。そして電波やケーブルさえつながっていれば、山間部でも、詳しいニュースや世界の動きを知ることができるのです。
どうか、政治家の方とお話する機会があったら、そうお伝えください。

サンケイも、政治,社会,文化,生活の、価値ある濃い情報量をネットやポッドキャストで発信してくれたら、有料でも購読したいと思います。(記者の人は、印刷する時間に縛られなく分、仕事が大変になるでしょうが……)広告が全くないのなら、有料でも喜んで電子新聞として購読する人が多いでしょう。

続報や紙面での展開、期待しております。

 
 

2008/11/17 20:39

Commented by 047696 さん

こんばんわ!阿比留さん。

あきらめたら。負け!

今から、メール、FAXにて抗議します。

継続は力なり!

 
 

2008/11/17 20:43

Commented by やせ我慢A さん

削除を承知で遊んでしまい、申し訳ありません。

今回の事は、万が一法案の行方に影響を与えなくても、議員にネットからの声が届き、彼らの動機か道具には成り得るということを証明した、画期的なことだと思います。
あとは、いかにそれを広げるか、また議員に都合良く利用されないような力にするかだと思います。

もちろん選挙の結果に反映するのが一番ですが。

 
 

2008/11/17 20:45

Commented by raptes さん

初めまして、raptesと申します。
恐縮ですが、折角の機会ですので正直なコメントを書かせて頂きます。

容易に国を転覆させられる法案が「流れ作業」とは…正直、落胆致しました。
異常なまでにお忙しいとは思いますが…さすがに、有り得ません。

「国会議員」という存在の本当の目的を見失われているように思います。
また我々も「我々は日本国民である」という意識を忘れていたように思います。

私の身近な人間の意見を聞きますと、
ニュースの影響からか「自民はダメだ。」という意識が日に日に大きくなっているようで
政治に興味のない人間は民主に投じてしまうと予想しています。
少しでも興味のある人間の中では、多くの問題を見聞きした結果、
「民主もダメだ。社民公明もダメだ。…国会議員は全部、ダメだ。」と考える人間も多く居ます。
(これが結果的に政治への興味のなさに繋がっているのではないかと考えています)

「雨降って…」とは言いますが、この破滅の危機に際し、
多くの国民が政治というものに興味を持つであろうと考えています。

国のため、世界経済のため、我が子のため…果てはご自分のためにも、
どうか、この法案に対し、一切の妥協を、捨てて頂きたい!
そう考えております。

よろしく、お願い致します。

 
 

2008/11/17 20:46

Commented by telemil さん

こんばんわ阿比留先生
東京に住む22歳の大学生です
ブログ拝見しました、
先生方の誰にも注目されないのに
日本のために努力する姿に涙がでました。
こんな政治家がまだ日本にもいるのだ!と
勇気づけられました。
ぜひ国籍法改正を阻止してください
お願いします。
先生方が頼りなのです。

 
 

2008/11/17 20:48

Commented by domino さん

阿比留様

記事のアップどうもありがとうございました。
なんでほかのマスコミでは誰もこの法案を取り上げないのでしょうね。

上の記事の情報は採決前日ではなく提議される以前に
話し合われておくべき内容だったのではないでしょうか。

もう時間がないけれど絶対阻止してほしいです。
産経新聞に期待しています。

 
 

2008/11/17 20:59

Commented by 花うさぎ さん

阿比留さん

先ほど自民党民主党への街宣から帰宅しました。

ありがとうございます、こういう報告を待ってました。明日も朝から衆議院前に出かけます。

ご覧の皆さん、まだ間に合います。どうか国籍法反対をファックスで議員に訴えて下さい。エントリーにもあるように、ネットが政治を変えるかも知れません。

どうかよろしくお願いします(--)。

 
 

2008/11/17 21:08

Commented by nezu621 さん

阿比留様、速報ありがとうございます。
なんか、ネットでのみんなの思いが伝わったみたいで、すごくうれしいです。
なんとか正常化してもらいたいものですね。

 
 

2008/11/17 21:09

Commented by char さん

こんにちは。
明治維新以降の西欧文化、思想の真似事をやってきたツケのやうなものがいま、つぎつぎと「日本の伝統」を破壊せしめてるやうな気がしてなりません。古代のギリシア、ローマ、ヘレニズムを経て、中世の宗教裁判や近代の帝国主義戦争の歴史は、キリスト教による「ひとつの考へ方」を全世界にひろめて行かう、といふのといっしょであって、それでもなほかつ、「保守」をつらぬいた、今日の産経紙面でもとりあげられた西郷どんが、やはり偉大であったなあと、痛感するしだいであります。でまた、申し訳ありません。

 
 
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