【台北=野嶋剛】台湾プロ野球リーグが存続の危機に直面している。相次ぐ八百長事件と経営不振で2球団の廃止が固まり、来年は現在の6球団から4球団に減少する。16日に終了したアジアシリーズでは統一が決勝に進出し、西武に敗れたものの健闘が光った。大リーガーも輩出し、実力は高まる一方で、リーグは入場者数の下落が止まらず、廃止論すら出ている。
11日、今年4位の中信ホエールズの経営陣が解散を発表した。「成績不振」と説明されたが、実際は観客不足による採算割れが原因と見られる。今年5位の米迪亜(メディア)ティー・レックスもシーズン終盤に球団ぐるみで暴力団が運営する野球賭博組織と組んで八百長を行った不祥事が発覚。オーナーや選手、コーチらが検察に事情聴取され、解散に追い込まれた。
台湾プロ野球は90年にスタートして来年は20周年を迎える。発足当初は高い人気を集めたが相次ぐ野球賭博に絡む八百長事件でファン離れが進んだ。今年の平均観客人数は1921人で最も多かった92年の3分の1以下。最大7チームあった球団数も来年は統一、ラニュー、兄弟、興農の4チームになり、あと1チームが抜ければ解散は確実で、がけっぷちに追い込まれた。
アジアシリーズで来日した統一の呂文生監督も「ここ数年、台湾では悪いニュースが続いてしまった。4チームで戦うことになるのは残念だ」と話した。
行政院(政府)体育委員会の戴遐齢主任委員は「日本は人口1億2千万人で12球団。人口2300万人の台湾では四つのチーム数で合理的だと言える。残りのチームは解散したチームから戦力を補強し、来年のシーズンで見応えあるゲームができればファンも戻ってくる」と話す。