ファイル交換ソフトを通じ、海外や国内の不特定多数に提供する目的で児童ポルノ動画を所持していたとして、埼玉県警少年捜査課が和歌山市の団体職員、植田一石(27)、広島県三次市の会社員、宍戸満(37)の両容疑者を児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕していたことが分かった。東京都在住の男についても逮捕状を取っており、12日午後にも逮捕する方針。
調べでは、植田容疑者らはファイル交換ソフト「eMule」(イーミュール)を利用し9~10月、10歳前後の女児が映った児童ポルノ動画を、世界中のユーザーに提供する目的で保存した疑い。
警察庁はブラジルの捜査当局から情報を得て、埼玉県警に捜査を依頼。県警は10月、この交換ソフトを利用していた児童ポルノ愛好家約10人を特定、自宅などを家宅捜索していた。押収したパソコンに残された交換ソフトの利用記録などから逮捕に踏み切った。
インターネット上にはんらんする児童ポルノを巡っては、国際刑事警察機構(ICPO)を中心に75カ国が連携し「オペレーション・カロッセル2」(回転木馬作戦)と名づけた捜査を進めている。日本は所持しただけでは罰せられないため、海外から「児童ポルノの発信源」などと指摘されている。一方で提供先が海外に及ぶ事例は海外の捜査当局との連携が不可欠とされてきた。【浅野翔太郎、小泉大士】
毎日新聞 2008年11月12日 西部夕刊