日本発祥の母子健康手帳がパレスチナ自治区で普及し、今年度中に30万冊を超える見通しだ。パレスチナでは移動の制限により、母子がかかりつけ医の診療を受けられないケースがあり、母子の健康状態を記録した手帳が役立っている。
日本では法律に基づき、市区町村が妊娠を届け出た母親に母子健康手帳を交付する。手帳には子育ての基本知識が掲載されているほか、母親の妊娠から出産までの健康状態、子どもの予防接種や健診のデータなどが書き込まれる。
パレスチナではイスラエルとの情勢が悪化すると、検問所で待たされている間に出産することもある。日本政府は05年8月から国連児童基金(ユニセフ)などと協力し、政府開発援助(ODA)で手帳の普及活動を開始。識字率に配慮し、絵を使って理解を助ける工夫もしている。
手帳は韓国やインドネシアなどにも広がっており、外務省はアフリカでの導入に向けた準備を進めている。【大谷麻由美】
毎日新聞 2008年11月17日 10時53分(最終更新 11月17日 11時01分)