中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

延命中止指針、看板倒れ 救急医8割「使用せず」

2008年11月17日 07時21分

 人工呼吸器の取り外しなど終末期患者の治療中止方法を示した日本救急医学会の指針について、救急専門医の8割強が現場で使っていないことが同学会のアンケートで分かった。理由として「法的問題が未解決」が最も多かった。指針は刑事責任を回避する狙いもあるが、医療現場の不安は残ったままで、国の基準を求める声が強まりそうだ。

 アンケートは今年8、9月、すべての救急科専門医2764人を対象に実施し、715人から回答があった。

 9割強が「学会の指針は必要」と答え、理由として「生前の本人の意思を確認するようになった」(127人)などを挙げた。ただ、8割強は現場で指針を適用しておらず、指針を実践するために学会に求める支援として「訴訟において学会が医学的な意見を述べる」(410人)や「係争の弁護に当たるなど法律の専門家を学会が確保し、支援する」(376人)などを挙げた。

 昨年10月に指針をまとめた学会特別委員会の有賀徹委員長(昭和大医学部教授)は「指針を作った時から法的保証が命題だった。どうするか検討したい」と話す。

 一方、厚生労働省は昨年4月、終末期医療をめぐる初の指針を策定し、同5月、一般に公表したが、延命治療の中止基準作りは先送りした。そのため今年1月、新たな専門家会合を設置し、基準が必要かどうか、本年度中にも結論を出したいとする。

(中日新聞)

 

この記事を印刷する

広告
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ