【ワシントン=鹿川庸一郎】金融サミットで取り上げられると見られていた基軸通貨体制を巡る議論は正式議題とならず、首脳宣言でも触れられなかった。
現実に「ドル以外に基軸となり得る通貨がない」(政府筋)ことに加え、基軸通貨の見直しとなればドル暴落、世界経済の混乱につながる懸念があるためだ。
サルコジ仏大統領はサミット開幕直前、「唯一の世界的通貨だったドルはもはや、その地位を主張できない」と述べ、サミットで基軸通貨体制について議論する意向を示した。しかし、会議では「ドル基軸通貨体制を堅持すべきだ」との麻生首相の発言に、他の首脳から異論はなかった模様だ。
サルコジ大統領の主張とは裏腹に市場ではユーロはドルに対し弱含んでいる。また、ドル暴落となれば、新興国が抱えるドル建ての資産価値が大きく目減りする。こうした事情から、各国の首脳が基軸通貨体制についてサミットで声高に主張することを阻んだようだ。
サルコジ大統領はサミット後の記者会見で「(通貨は)重要な問題の一つ。3週間で解決するはずがない」と述べ、今後の議題としたい考えを示した。
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