年末商戦の商品が並ぶデジカメ売り場=東京・秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkiba
デジカメ価格の推移
デジタルカメラの売れ行きが振るわない。出荷台数の約9割を占めるコンパクト型の価格下落が激しく、金融危機で海外向け需要も頭打ち。各社は今期の販売計画を軒並み下方修正した。「稼ぎ頭」の失速で業績悪化が一段と進む可能性もある。
年末商戦でにぎわう東京都心の家電量販店。デジカメ売り場でコンパクト型の品定めをしていた男性客(66)は「2台目を買った3年前よりずいぶん価格は下がった。機能はどの社も同じなので、値頃なものを選びたい」。売り場担当者は「お客は価格にますます敏感になった。メーカーの競争は厳しくなる一方だ」。
調査会社BCNによると、コンパクト型の国内販売額は昨年10月以降、前年割れが続く。台数も今年になって前年割れが目立つようになった。市場は飽和し、平均単価は2年前の3万1千円から、今年9月には2万5千円に落ち込んだ。
さらに金融危機の打撃を受ける。世界シェア首位のキヤノンは「先進国市場の不振が減収の大きな要因。とくに欧州での落ち込みが大きい」(大沢正宏常務)。需要減に加え、販売価格が約2割下落し、今年のデジカメ部門の営業利益は前年比約25%減と、00年以降では初の減益になる見通しだ。
ソニーが通期業績を大幅に下方修正した要因の一つもデジカメ不振だった。07年度では営業利益率が20%を超える稼ぎ頭だったが、08年度は営業減益を見込む。大根田伸行・最高財務責任者は「市場全体が縮小、シェア競争で価格が下がる」と頭を抱える。
ニコンは08年9月中間期でのデジカメ部門の営業利益は過去最高だった。それでも下期については営業利益をマイナスに修正した。オリンパス、富士フイルムもデジカメ部門の採算悪化で通期業績を下方修正した。