日経パソコン オンライン

ホーム >

インタビュー

Vista導入の“見送り”を決断 前OSとの互換性がネックに

大成建設 理事 情報企画部長 木内 里美氏

2008年11月17日 page:1/3次へ

 
拡大表示
木内 里美(きうち さとみ)
1947年、茨城県生まれ。中央大学理工学部卒業後、大成建設に入社。本社土木設計部などを経て、2001年に情報企画部長に就任。03年には日経情報ストラテジーの第1回「CIOオブ・ザ・イヤー」を受賞する。この6月より、大成ロテックの常勤監査役を務める
(撮影:細谷 陽二郎)

 職場でのWindows Vistaの導入が遅々として進まない。発売から1年半が経過したにもかかわらず、導入企業は全体の3パーセント台。普及の兆しは、一向に見えてこない。なぜ、職場での導入が進まないのか。Vista導入の見送りを決めた、ある大手建設会社の情報システム担当者に不採用の理由を聞いた。

■現在、大成建設で使っているOSは何ですか。

 当社は、これまでWindows 2000をメーンに使ってきましたが、昨年4月にXPに切り替えることを決断し、現在その移行作業を順次進めているところです。現段階での使用比率は、2000が65パーセント、XPが35パーセントに達しています。

■昨年4月と言えば、もうVistaが登場しています。なぜVistaに乗り換えなかったのですか。

 もちろん、Vistaを第1候補に考えました。発売前の早い段階でベータ版を入手し、私自身も含めてシステム部門のスタッフが詳細な検討を行いました。実際に3台のVista搭載機を用意し、日常業務で使った場合に、どんな問題が起こりうるのか。その原因と対策をすべてチェックリストに挙げていったのです。こうした検証を進めるなかで、次々と大きな問題が浮かび上がってきました。

 まず1つは、前OSとの互換性です。当社では、Windows 2000上で、500を超える自社開発のアプリケーションソフトを走らせています。これをVistaで動かしたところ、多くのソフトで不具合が発生しました。仮にVistaを導入するなら、それらのソフトをすべて改修しなくてはなりません。これは気が遠くなるような大変な作業です。

 もう1つは、導入コストの問題です。Vistaへの移行費用をザッと見積もったところ、少なくとも15億円程度の費用がかかることがわかりました。しかし、これほどの投資をしても、得られるメリットがまったく見えてこないのです。


 
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

印刷ページ

ホーム > 
PCオンラインメール配信登録
Apple Store(Japan)

最新刊のご案内

最新の誌面から

  • 日経パソコン 2008年11月10日号

    日経パソコン 2008年11月10日号

    パソコンを仕事と生活に活かす総合情報誌
    ・キーボード&マウスの極意
    ・ミニノート購入ガイド
    ・失敗しない業務ソフトほか

  • 日経PCビギナーズ 2008年12月号

    日経PCビギナーズ 2008年12月号

    パソコン初心者応援マガジン
    ・全自動バックアップのススメ
    ・試してみました!検証5万円ノート
    ・面倒操作が1秒に!「ドラグ技」24選ほか

  • 日経WinPC 2008年12月号

    日経WinPC 2008年12月号

    パワーユーザーのためのPC総合情報誌
    ・パーツ選び勝者の鉄則!
    ・今買える!ベスト電源
    ・「5万円ノート」達人はこう選ぶ!ほか

  • 日経PC21 2008年12月号

    日経PC21 2008年12月号

    ビジネスマンのパソコン誌
    ・エクセルで文書も作図も!
    ・ウィンドウズ・ビスタは初期設定で使うな!
    ・最新デジカメで“ダメ写”を解消!ほか

パソコン関連書籍 最新刊のご案内
日経パソコンスキルアップ倶楽部