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more楽:舞台公演をスクリーンで堪能 格安で特等席気分

 近年「シネマ歌舞伎」「ゲキ×シネ」「METライブビューイング」といった企画が次々に登場し、伝統劇や現代演劇、オペラなどの舞台公演を、映画館のスクリーンでじっくり鑑賞できるようになった。演劇の舞台裏を描く優れたドキュメンタリー映画も公開されている。【高橋豊】

 「シネマ歌舞伎」は、歌舞伎の舞台公演を最新鋭の高性能カメラで撮影し、臨場感あふれる映像美とセリフ回しをスクリーンから届ける。これまで「野田版 研辰(とぎたつ)の討たれ」「京鹿子(きょうかのこ)娘二人道成寺」など6作品が上映された。

 現在、松竹系映画館で公開中なのが7作目の「人情噺(ばなし)文七元結(もっとい)」である。山田洋次監督が初めてシネマ歌舞伎を手掛けた。主演の中村勘三郎の要請で、東京・新橋演舞場の公演の補綴(ほてつ)(台本改訂)と演出まで担当。劇場に8台のカメラを設置し、主としてスタンダードレンズで撮影しているため、映像が極めて鮮明だ。

 「文七元結」は落語をもとにしており、落語ファンの山田監督は作品を知り尽くしているから、タイミング良く役者の表情をとらえる。筆者は実際の舞台を見ているが、例えば長兵衛(勘三郎)の娘・お久(中村芝のぶ)の手の無数のあかぎれが確認できるなど、映画で新しい発見があり、役者の息遣いまで伝わってくる。舞台と比べて格安の値段で“特等席観劇”できるのが大きな魅力だろう。

 現代演劇で成功しているのが「ゲキ×シネ」シリーズだ。「髑髏(どくろ)城の七人」「メタル マクベス」など劇団☆新感線のヒット作をこれまで5本、映画館で公開。ダイナミックな映像表現と迫力の音響で熱烈なファンを獲得した。

 松竹はシネマ歌舞伎のほか、オペラの「METライブビューイング」も行っている。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のオペラ公演を日本の映画館・ホールでデジタル上映するもので、今シーズンは11月1日からスタート。来年6月まで、「蝶々夫人」など10作品の公開が予定されている。

 また、宝塚歌劇は10月の東京国際映画祭で「タカラヅカ レビュー シネマ」第1弾と銘打ち、ショー「ソロモンの指輪」を特別上映して注目を浴びた。

 一方、東京のル・シネマなどで公開中の映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」は、バックステージを描いた好ドキュメンタリーだ。ミュージカル「コーラスライン」を16年ぶりに再演する際のオーディション選考の過程を追った。

 「コーラスライン」はオーディションを勝ち抜こうと苦闘する青春群像を活写した作品で、日本でも劇団四季が上演した。今回の再演には3000人が応募し、19の椅子を争った。映画は舞台のテーマ通りの激しい競い合いに加え、オリジナル版の原案・振り付け・演出を担当したマイケル・ベネット(87年、エイズのため死去)の証言など、貴重な映像も紹介している。

毎日新聞 2008年11月15日 東京朝刊

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