2008.11.16 Web posted at:  19:09  JST Updated - AP
サイエンス

イラクの古代都市バビロンを救え ユネスコが実態調査

イラク中部バビロン(AP) イラクの首都バグダッド南方に位置するバビロンは、「空中庭園」や「ハンムラビ法典」で知られる古代メソポタミア文明の中心都市のひとつ。だが、80年代にフセイン政権が「復元」と称して手を加え、03年のイラク戦争開戦後は駐留米軍などが駐屯地として使った結果、重大な損傷を受けたとされる。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は来年初めをめどに、詳細な実態調査をまとめる予定だ。

AP通信の取材班は先月、イラク当局の許可を得て現地に入った。バビロン遺跡の発掘は約100年前に中断したまま。空中庭園の仕掛けや、旧約聖書に登場する「バベルの塔」の起源など、依然として多くのなぞが残る。

フセイン元大統領はこの遺跡を観光資源として活用するため、古代の建造物をまねた急ごしらえの模型やレストランなどを設置。それが03年から04年にかけ、米軍とポーランド軍の駐屯施設として使われた。

04年にバビロンの惨状を調査した大英博物館のジョン・カーティス氏によると、米軍はれんがの敷きつめられた古代の大通りに軍用車や重機を走らせ、ヘリポートや駐車場を建設し、出土品の破片を含んだ砂を土のうに詰めるなどして、遺跡を破壊したという。米国はこうした指摘に対し、「駐屯地にしなければ、略奪によってさらにひどい状態になっていただろう」と主張。一方で、非政府団体(NGO)のワールド・モニュメント・ファンド(WMF)とイラク当局によるバビロン復旧事業への資金協力を約束しているが、出資額などは不明だ。

実際、イラク各地の遺跡では略奪が多発してきた。最近はやや落ち着いているものの、警備態勢が不十分なことに変わりはなく、観光客や研究者にとっては今も危険で近づけない場所が多い。AP通信とのインタビューに応じたマリキ首相の側近に遺跡保護政策について質問すると、「それよりも緊急を要する課題がある」との答えが返ってきた。失われた遺跡バビロンの、復旧への道は遠そうだ。

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