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このところ鉄道好きの間でブームになっている“ネコ駅長”。和歌山県のタマ駅長に続き、福島県は会津鉄道芦ノ牧温泉駅のバスちゃん(11歳)も今年4月、名誉駅長に任命された。元々、駅舎を根城に、お客さんを出迎え(寝迎え?)ていたバスちゃん。その功績が会津鉄道の社長さんにも認められたというワケだ。
小さな鉄帽をかぶった姿はほんとキュート。ふわふわとした毛並みも愛らしく、駅長に会いに来るお客さんも多いのだとか。だが、お客さんたちの熱狂ぶりもどこ吹く風、眠りたいときには眠り、時々どこかにぷいっと出かけてしまう。それでこそネコ駅長だ!
ところで芦ノ牧温泉、「大川荘」のお風呂はおすすめだ。2年前に新設された「たな田」風呂は、ダイナミックな眺めに圧倒される。内風呂の外に、傾斜に沿って段々になった浴槽が3つ。渓谷に向かって降りていくような造りになっていて、湯船に入ると眼前に渓谷がそそり立ってくる。すごい! すばらしい眺めだ!
内湯には寝ころんで入れる麦飯石サウナ(女性用)が設けられていて岩盤浴気分も楽しめる。お香ただようアプローチや脱衣所も清潔、おいしいお水も用意されている。さらに別場所に渓谷に張り出すような空中露天風呂もある。こちらは岩組みの浴槽、眺めはより優しげだ。これだけキチンと設備が整っているのだから1500円という日帰り入浴料(湯タオル付き)も決して高くは感じられなかった。出かけるだけの価値がある渓谷の温泉だ。
起きている姿は会津鉄道からお借りした写真で。立派なヒゲとふわふわ毛皮がかわいいバス駅長です。撮影:坪内政美
会津鉄道の人気列車「お座トロ展望列車」で芦ノ牧温泉へ。お座敷車両+トロッコ(冬は窓あり)+展望車両の3両編成。トロッコ車両は、トンネルに入るとライトがまたたく仕掛けも。通常列車に+300円。11月16日までと2月の土・日・祝日に運行。定期運行日以外は貸し切りもできる。(写真左上、右)
お座トロ列車は数分間、芦ノ牧温泉駅に停車。その間、駅長を取り囲んで大撮影会。だけどバス駅長、一度も目を覚ましませんでした。(写真左下)
待合室の一角にある駅長室。ですがあまりここにはいない様子。巡回に、お昼寝に、ポスター撮影にと、名誉駅長もたいへんなのだ。ちなみに人間駅長さんは女性、美人です。
売店で売られているポストカードとぬいぐるみ1850円。ぬいぐるみはお腹を押すと愛らしい声が流れる。
昭和初期に建てられた芦ノ牧温泉駅。懐かしい木造駅舎で居心地がいい。バス駅長の前にもネコが棲みついていたのだとか。時間の流れがゆったりでネコにとってもきっと居心地いいんだろうな。
大川の渓谷沿いに開けた芦ノ牧温泉。伝説では1200年前、行基上人により開かれたと言われている。芦ノ牧温泉駅からは4キロほど離れている。バスの本数は少ないので注意を。
大川荘「たな田」風呂の一番上にある内湯。石けんやシャンプーはこちらで。露天風呂は環境保護のためソープ禁止。
3段に分かれた「たな田」風呂。川原石を組んだ造り。目の前にはダイナミックな渓谷の景色が広がる。大きさはさほどでもないが、趣向に富んだお風呂だ。
大川荘の空中露天風呂へと続くアプローチ。木造階段の途中にはお休み処も設けられている。エレベーターもあるので安心だ。
空中露天風呂。浴槽は岩組みで手前と奥とに2つ。たな田より低い位置にあるためか、景色は少し限られる。お湯はかけ流し。泉質は硫酸塩・塩化物泉。あたたまる上にすべすべ&きしきし感のあるいいお湯だ。
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次回更新は11月21日予定です。お楽しみに!
温泉ライター歴19年。国内外で浸かったお湯は千湯以上。肌でpHを感じ、飲んで湯の成分を確かめるのを信条に、温泉行脚の日々を過ごす。温泉入浴剤にもこだわりあり。
旅行誌などで温泉記事を執筆中。日本温泉地域学会員
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