人を傷つけるネットの書き込みは、相手が見えず恐怖心が募る。韓国で先月、ネットで広まった中傷が引き金とみられる女優の自殺があった。日本では、生徒間の情報交換が目的の「学校裏サイト」での中傷発言などが問題視されている。
殺害予告をネットに書き込み逮捕された10代男性を取材した。まじめそうな彼は、「ネットだといつもより強気になってしまう。歯止めが利かなかった」と後悔の念をにじませながら語った。
少し前には、硫化水素の自殺法を記した約30行の定型文書が、ネット掲示板など至る所に転載された。「コピペ(コピー&ペースト=張り付け)が人を殺す」と言われていたが、深く考えもせずに多くの人が転載を繰り返したのだろうか。
女優の自殺を契機に韓国では、ネット規制強化の動きが急速に進んでいると聞く。日本も同様の動きが顕著だ。ブレーキを踏まずに事故を起こす悪質運転手は、どうか一般人を巻き込まないでほしい。
ちなみに私は経験則上、「悪口が書かれているサイトには絶対アクセスしない」というルールを課し、心の平穏を保つことにほぼ成功している。【高橋望】
毎日新聞 2008年11月13日 大阪夕刊