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医師不足、宿直月6回も東京都で脳出血の妊婦が、「総合周産期母子医療センター」に指定されている病院など8病院に受け入れを断られ、出産後に死亡した問題は、重症妊婦や新生児の緊急治療を行う同センターの態勢が不十分な実情を浮き彫りにした。同センターに指定されている大阪府内の5病院も、常勤医師や新生児集中治療室(NICU)の数が十分とは言えないなど課題は多い。読売新聞が行った調査結果を分析した。 常勤医師5病院には、常勤の産婦人科医が9〜18人いる。4病院は定員以上だったが、大阪大医学部付属病院は定員を1人下回っていた。 夜間や休日の当直態勢は、4病院が2人の医師を置いているが、愛染橋病院は原則1人。自宅待機して呼び出しに応じる「オンコール当番」を1人配置し、経験の浅い若手が当直の日は2人で泊まるなど配慮する。同病院の担当者は「2人以上で当直ができる病院は恵まれている。月6回泊まる医師もおり、数が足りない」と打ち明ける。 脳疾患への対応産科救急の対象は▽母体▽胎児▽新生児――に分かれるが、例えば脳出血で母体が重症に陥った場合、脳外科のない施設では対応できない。府立母子保健総合医療センターと愛染橋病院は、近隣の大学病院や総合病院など、高度医療を提供する「3次救命救急センター」に搬送している。 受け入れ態勢救急搬送依頼への対応について3病院が「原則すべて受け入れる」と回答。「断る場合がある」とした2病院は、理由を「ベッドが満床時や、処置中で医師が対応できない場合」(愛染橋病院)、「重症患者を優先し、軽度の患者にほかへ回ってもらった適切な搬送の結果」(府立母子保健総合医療センター)としている。 府立母子保健総合医療センターは2006年7月からの1年間、受け入れ先を探した約270件を分析。1か所目で決まったのは約25%にとどまり、平均は3・3か所目。決まるまでに同約50分かかっていた。 こうした状況を受け、昨年11月に配置されたのが「緊急搬送コーディネーター」だ。母体の状況を見極め、的確な搬送を行うため、ほかの病院との連絡調整役に専念する。コーディネーターとなるのは、同センターや基幹病院の産科医らベテラン医師15人。同センターの「3人目の当直」の位置づけだが、地域の病院が搬送先を探せない場合の調整も行っており、府全体の産科救急の“司令塔”としての役割も担う。配置後、受け入れ先の決定までの時間が、平均約30分に短縮された。 課題受け入れ先が決まらない背景について、府立母子保健総合医療センターの末原則幸・副院長は「NICUが絶対的に不足している」と指摘する。府内には現在、NICUが211床あり、増床傾向だが、空床状況などの情報を共有する「産婦人科診療相互援助システム」(OGCS)に参加する約40病院の平均稼働率は9割超。医師の手が空いていても、NICUがふさがっていて断らざるを得ない場合もあるという。 「府全体でさらに20〜30床のNICUが必要。医師不足の解消と合わせて根本から産科医療を立て直してほしい」。末原副院長は国や自治体の支援を要望する。 (2008年11月16日 読売新聞)
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