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2008年11月16日

◎コンビニの地域貢献 積極的に食材掘り起こしを

 コンビニエンスストアや外食各社が、国内市場の縮小や店舗増による競争激化でアジア 市場に活路を求める構図が鮮明になったといわれる。

 が、その一方で石川県をはじめとして北陸のコンビニでは地元産の食材を加工する商品 開発に活路を見出そうとする挑戦が軌道に乗り始めたようだ。

 「知られざる食材」も多く、それらが積極的に掘り起こされて商品化されることは生産 者に「やる気」を持たせ、一次産業の活性化につながる。コンビニの地域貢献として大いに歓迎したい。

 地元産の食材の値打ちが見直されている背景には輸入食品への不信がある。

 すなわち、高濃度の殺虫剤や、タンパク質が多いように見せかける目的で混入した有害 物質のメラミンが検出された中国産食品への不信感である。

 しかし、それだけではなく、コンビニ各社も地元の大学や短大の学生たちの意見や要望 を聞き、地元食材の商品開発に努力をしていることもあるのだ。

 一例を挙げると、七尾市の中島菜、金沢市の五郎島金時(サツマイモ)、珠洲市の能登 大納言(小豆)などが商品化されている。需要を呼び起こす食材は他にもいろいろあるのだから、意欲的に掘り起こしてほしい。

 県内には三百を優に超えるコンビニがあり、規格外の地元産食材を活用するところも出 てきた。規格外だと自家用以外は捨てられるのだが、それが生かされるのだから、生産者側にとってはありがたい話と言わねばなるまい。

 コンビニ側の規格が厳しく、それに合わせるのが大変だということを生産者から聞かさ れたこともあった。そうした苦労を減らすことに賛成だ。

 北陸農政局によると、石川県の食料自給率はコメや魚介類がずば抜けて高い。前者は1 66%、後者は91%だ。ところが、野菜になると44%、芋類33%、果実10%、肉類2%である。

 コンビニの地元産食材重視の新機軸は、生産者にとって頼もしい助っ人の出現である。 野菜や畜産農家などの奮起を期待したい。

◎北朝鮮の核申告 あいまいな検証では禍根

 北朝鮮が核計画申告の検証方法について、米側が合意したと発表していたサンプル(試 料)採取を拒否する立場を明確にした。核検証の米朝合意は玉虫色のあいまいな内容であり、どれだけ実効性のある検証ができるか懸念されていたが、早くもその心配が表面化し、米朝合意にほころびが生じた格好である。

 北朝鮮は、寧辺の核施設無能力化の見返りである重油提供などの遅れに不満を持ち、今 後の経済的補償の日程を明文化するよう求めて、無能力化のペースを再び落としているという。しかし、北朝鮮が「行動対行動」の原則を主張するのであれば、核検証でサンプル採取を確約し、その文書化に応じることが先決である。核廃棄の過程前段のかなめの作業である核検証が甘く、あいまいなものでは禍根を残すことになる。

 核物質のサンプル採取は、北朝鮮がこれまでプルトニウムをどれだけ抽出してきたかを 調べるのに不可欠とされる。北朝鮮は口頭で了解したといい、ヒル米国務次官補はつい最近も、合意した科学的検証手段の中にサンプル採取が含まれていると説明していた。しかし、北朝鮮の口約束はまったく当てにならないことを、あらためて見せつけられた。

 ブッシュ政権が北朝鮮との甘い核検証合意でテロ支援国家指定を解除したのは、核施設 再稼働という北朝鮮の脅しに屈した結果ともいえ、「北朝鮮が約束を守る前に褒美を与えてしまった」という批判が米国内でも強い。サンプル採取拒否のほか、未申告の施設も含めていた検証対象を寧辺に限定するなど、指定解除の前提である核検証合意の内容が今になって覆されるようでは、そうした拙速批判はさらに高まろう。

 北朝鮮は対話重視のオバマ次期政権の方がくみしやすいと踏んでいるのだろう。ブッシ ュ政権は、対北朝鮮交渉で譲歩するほど外交カードを失い、次期政権の立場を弱める恐れがあることを認識する必要がある。日本政府は核検証に関する六カ国協議でサンプル採取の文書化を求めている。その立場を崩してはなるまい。


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