弘前市の健生病院(長谷良志男院長)は、救急輪番制の指定病院として同市の救急医療の中核を担っている。第二次救急医療機関として救急外来は内科、外科、小児科まで幅広く患者を受け入れているが、救急医療をさらに充実するため今年10月から、病院独自の取り組みとして救急病棟を開設した。長谷院長は「地域の人たちが求めている救急医療を提供していきたい」と張り切っている。
 救急病棟設置は、治療中患者の状態把握、患者の安全性、緊急時のベッド確保対策などを目的に、同病院の今年度事業計画として3月から準備。同病院の282床のうち、利用が減っている産婦人科、小児科を中心にベッドを集めて8床を確保し、救急外来奥に設置した。
 スタッフは、救急外来を担当する専門医2人とICU兼務医師1人のほか、救急看護認定看護師ら。診療時間外(午後4時40分―翌日午前8時半)は医師2人、看護師2人が科を問わず診療や治療に当たる。
 同病院は2003年の救急外来開設時から「断らない外来」を目指しており、同病院によると、昨年度の救急医療受診患者数は2万423人、救急車搬入数は1602件に上る。
 このため、重傷ではないものの経過を診なければならない患者が騒がしい救急外来のベッドで過ごさなければならなかったり、入院が必要と診断されても入院ベッドが空くまで救急外来のベッドで過ごすしかない患者もいるというまた脳卒中インフルエンザなど冬季になるにつれて患者数が増加し、年末年始には多い時で1日200人を4人の医師で診ることもあるという。
 救急集中治療部の太田正文医長は「救急外来が近いことで、次の診断がしやすい。時間の短縮にもつながる」と話す。救急医療は態勢充実に人件費が掛かり、マンパワー不足など問題は山積。病院側も地域連携の中でどう地域医療を守っていくかが問われている。
 長谷院長は「厳しい状況の中でも救急医療は公共的な役割が大きいため、支えていかなければならない」と語った。
【写真説明】救急医療の充実を目指し、今年10月に開設された救急病棟