石原銀行救済でみずほ銀行が脅される！？

　経営破綻寸前の「新銀行東京」を巡って、またキナ臭い話が出てきた。

　昨年来、新銀行は内外の金融機関に提携話を持ちかけている。だが、ズサン融資で累積赤字が１０００億円にまで膨らみ、逮捕者まで出たボロ銀行を救済しようというオメデタイ銀行などあるはずがない。そこで、東京都が日頃から独占的に取引を行っている「指定金融機関」のみずほ銀行に、新銀行支援の“脅し”をかけるのではないかというのだ。

「最近になって突然、都議会自民党の実力議員らが、『指定金融機関を入札制にしたらどうか』と言い出した。その心は、『みずほが新銀行の支援をしないのはけしからん。だったら指定金融機関を外してしまえ』ということです。みずほに踏み絵を迫って、新銀行支援を約束させようというわけです」（都庁関係者）

　みずほ銀行は、都民の税金などの払込先として１日に２００億円超を扱っている。東京都は大のお得意さまだ。その立場を利用して、実は、東京都は過去にもみずほに新銀行への便宜を要求したことがある。

　今は撤去されてしまったが、新銀行は地下鉄駅などに１５１台のＡＴＭを設置していた。しかし、全銀協に加盟が認められないため、相互利用のネットワークが広がらず困っていた。そこで、東京都がみずほにゴリ押し。開業から１年後の０６年３月、他のメガ・地銀がソッポを向く中、みずほだけがネットワークに加わったのだった。

　指定金融機関の入札制について、みずほ銀行は「個別の契約のことであり、コメントは控えさせていただきます」と答えた。みずほによる新銀行救済はあるのか？

「今や指定金融機関は手間暇かかってうまみはない。新銀行を救済してまで指定銀でいようとは思わないというのが本音ですが、都とは戦前からの関係ですからねえ……」（みずほ関係者）

　新銀行がここまで経営悪化に陥ったのは、石原都知事のデタラメ発案と自民党以下の都議たちの融資口利きで食いつぶされたのが原因。その尻ぬぐいをみずほに押しつけるのは言語道断だ。本当に懲りない連中である。みずほも、ロコツな政治圧力が加わるようなら、うまみのない指定銀などサッサと返上してやればいい。

（日刊ゲンダイ2008年11月12日掲載）