十四日付の本紙笠岡・井原圏版から「図書館はいま」というタイトルの連載企画を始めました。若い世代を中心に活字離れがいわれていますが、そんな逆風を跳ね返そうという井笠地域三市二町の図書館の取り組みを紹介しています。
この企画を思い立ったのは、記者が漏らした言葉がきっかけでした。「最近の子どもたちは自分の部屋ではテレビやゲームなどがあって気が散るから、静かで集中できる図書館に行っているようだ」。当然とはいえ、昔とは事情が違うのに少し驚きました。
図書館は今、難しい状況にあるといえます。活字離れが進むうえ、どの自治体も財政状況は厳しく効率的な運営が求められています。普及が進むDVDなど映像面での対応や、生涯学習の側面からのニーズにも応えなければなりません。これから図書館はどうなっていくのでしょうか。
こうした疑問を抱きながら記者は取材を始めました。すると、それぞれ頑張っている姿が浮かび上がってきました。司書が乳児健診の待合室に出向き、親子を前に絵本の読み聞かせをしたり、中高校生をターゲットに人気作家の作品だけでなく環境、経済問題の入門書を並べた特設コーナーを設けるなど工夫を凝らした取り組みを進めています。
今後も社会的な要請は多様化し、試行錯誤は続くと思います。もしかすると情報技術の進歩で図書館が無くなるような時代が来るかもしれませんが、そんな時代はまっぴらです。本を借りに行こうと思います。
(笠岡支社・河本春男)