米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)による汚染米の不正転売事件で、石破茂農相は30日、転売の現場となった同社九州事業部(福岡県筑前町)を初めて視察し「検査は抜き打ちで、最後まで行われなければならなかった」と農水省の検査体制の不備を認め、再発防止策を早急に立てる考えを示した。
石破農相は同事業部を約40分視察。自主回収分を合わせて約1000トンの汚染米が保管されている倉庫内に入ったほか、従業員に不正転売の経緯などについて説明を求めた。
視察後、報道陣に対し「極めて巧妙かつ悪質なビジネスが行われていたという印象を強く持った」と述べた上で「行政は性悪説に立つべきだと実感した。反省すべき点は反省する」と語った。
石破農相は同事業部の視察に先立ち、原料への汚染米混入で清酒約3万本の自主回収を余儀なくされた熊本県城南町の美少年酒造を訪問。緒方直明社長(60)らに「第一の責任は農水省にある。知らずに汚染米を使っていた業者の方々には大変申し訳ない」と謝罪した。
石破農相は緒方社長や加盟店が被害に遭った熊本県菓子工業組合の堤公一理事長(60)らと意見交換。出席者によると、風評被害の解消に向けて、支援策を検討することを約束したという。堤理事長は意見交換後、県内の酒造組合にも呼び掛け、三笠フーズ側に損害賠償を求める考えを示した。
=2008/10/01付 西日本新聞朝刊=