西日本新聞

テーマは振り込め詐欺 「劇団あさくら」奮闘中 役者は8人の警察官 後絶たぬ被害 撲滅願い舞台へ

2008年10月28日 04:41 カテゴリー:九州・山口 > 福岡
振り込め詐欺事件を題材にした演劇を披露する「劇団あさくら」

 高齢者の被害が後を絶たない振り込め詐欺事件。子や孫を思う心に付け込んだ事件を少しでも防ごうと、朝倉署(石井直行署長)の警察官有志が「劇団あさくら」を旗揚げし、高齢者が集まる会場で事件を題材にした演劇を披露している。警察官と役者の“二足のわらじ”。ユーモアはもちろん、説得力のある迫真の演技が評判を呼び、公演依頼も相次ぐ。「事件を身近な問題と考えてもらえれば」。被害の撲滅を願って会場に足を運び、舞台に立つ。

 「オレオレ、分かるやろ」「えーっと、太郎ね」「そうそう、太郎たい」。

 8日、筑前町のJA筑前あさくら夜須支店であった「劇団あさくら」の公演。犯人役と祖母役の警察官の軽妙なやりとりに、会場を埋めた約50人のお年寄りから笑い声が上がった。

 孫を装った犯人が被害者の祖母に電話し、交通事故を理由に示談金を振り込ませるストーリー。祖母が、銀行前で警察官と偶然出会い、事情を明かしたため被害は未然に防げたという設定だ。

 「これまで事件は『人ごと』と思っていました」。公演後、同町下高場の主婦平田節子さん(64)は打ち明けた。平田さんには6人の孫がいるという。「次は『わが身』かもしれない。演じるのが警察官の方だけに、心に響くものがありました」

 「劇団あさくら」は若手署員の発案で、今年5月に誕生した。「警察劇団」は珍しいが、朝倉署の管轄面積が県内警察署で最も広いことから、「地域との接触の機会が増える」(原田博人副署長)と署を挙げて後押しした。劇団員は刑事、地域、警備など各課に所属する8人。これまで3回の公演を重ね、出演依頼も舞い込んでいるという。

 「似たような出来事があった場合、私たちの劇を思い出してもらえれば」。交通課巡査部長で劇団長の佐々木佐智子さん(45)は語る。佐々木さんは演出を担当。突発事件発生など勤務の制約で全員がそろうことは限られるが、練習では演技そのものに加え、せりふや動きの「間」も考える。「演技が分かりやすく上手でないと、観客に思いは伝わりません」

 朝倉署管内で今年発生した振り込め詐欺事件の被害総額は680万円。交通事故などを装う架空請求のほか、融資名目で保証金を振り込ませるなど犯行形態は多様だ。「いろんなケースを再現した劇を考えていきたい」と佐々木さん。原田副署長も「子ども向けの交通安全の演劇など、もっとレパートリーを増やして、県警を代表する劇団に育ってほしい」と期待を込める。

=2008/10/28付 西日本新聞朝刊=

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