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【神田高校問題】「校長先生を戻して」「服装で合否、正しい」保護者や生徒が嘆願書

11月15日22時53分配信 産経新聞


【神田高校問題】「校長先生を戻して」「服装で合否、正しい」保護者や生徒が嘆願書

神奈川県立神田高校の前校長に対する処分撤回を求めて行われた署名活動=15日午前、神奈川県・平塚駅前(緑川真実撮影)(写真:産経新聞)

 神奈川県平塚市の県立神田高校が入試で服装や態度がおかしい受験生を不合格とした問題で、更迭された渕野辰雄前校長(55)を学校現場に戻そうと保護者や生徒らが16日までの予定で署名活動を実施、週明けに松沢成文県知事と山本正人教育長あてに嘆願書を提出する。前校長は教頭時代から同校建て直しに取り組み、信頼を得ていた。多数の中退者など生徒指導に悩む学校現場。同校だけの問題ではない。(中村智隆、鵜野光博、福田哲士)

■「苦渋」の選択

 神奈川県教委が問題を公表したのは先月28日。翌日、渕野前校長を今月1日付で県立総合教育センター専任主幹に異動させる人事を発表した。

 その後、県教委などには1300件を超える意見が寄せられ、その9割以上が「校長の判断は正しい」「風紀の乱れを事前に守ろうとした校長がなぜ解任されるのか」など前校長を擁護するものだ。

 週末には同校PTAのOBや卒業生らが14〜16日の予定でJR平塚駅北口で署名活動を実施。

 卒業生の女性(19)は「渕野先生は常に生徒のことを考えている」。署名した女性(69)は「親の育て方が悪い。渕野前校長は悪くない」。30代の主婦は「外見などは基本のことで選考基準になくても当然。自分の子供を入れようとするときに金髪の生徒などがいるのは嫌」とした。

 在校生からも「校長先生を戻してください。これは生徒みんなの願い」(1年女子)。保護者からは「渕野前校長は現場にいるべき人間」「大事なお父さんを連れて行かれた感じ」との声もある。

 PTAなどはすでに県教委に渕野前校長の人事の撤回を求める要望書や陳情書など3通を提出。内容は、(前校長を)神田高校の生徒指導派遣に出してほしい▽神田高校でなくとも校長として現場に戻してほしい▽これ以上の処分はしないでほしい−などだ。

 渕野前校長は産経新聞の取材に「ルールから逸脱しているという認識はあった」とした上で「先生たちの物理的、体力的な限界というものがあり、負担を軽減させたかった。苦渋の決断だった」と話す。

■建て直しの矢先

 同校保護者らによると、以前の同校は校内に飲食物が散乱し、喫煙やいじめ、盗難などが絶えなかった。近隣の公民館やコンビニエンスストアなどには「神田高生の立ち入り禁止」の張り紙が出され、アルバイトを断られたり、バスに乗せてもらえなかったことも。

 中退者は全校生徒約350人に対し、年間100人。謹慎処分を受ける生徒も絶えなかった。しかし、平成15年になるとこの状況に変化が見え始めた。教頭だった渕野前校長と前任の校長が「まじめな生徒が下を向いて歩いているようではいけない」と具体的な対策を取り始めたのだ。

 学校と生徒・保護者の緊密な連絡と親身な対応▽ごみ拾いを兼ねた校内の見回り▽部活動・同好会の奨励▽学校便りの地域での回覧−など。PTAや地域も賛同、教職員と取り組んだ。

 その結果、校内からごみが消え、生徒たちはあいさつをするようになってきた。地元の警察は「指導件数が減った」と舌を巻き、大学や専門学校に進む生徒が増えてきたという。部活動も活発になり、チームが組めないほどだった野球部は、18年には公式戦で10年ぶりの勝利を飾った。

 渕野前校長は生徒と食事をともにするなど率先して指導に取り組んだ。「学校全体の担任という思いで生徒たちに接してきた」といい、全校生徒の顔と名前を覚えているという。

 今回の問題の発端となった入試での身なり調査も学校建て直しの中で平成17年度入試から設けられた。

 「改革が軌道に乗り始めた」という矢先。渕野前校長は「異動は致し方ないこと。しかし道半ばでこうなってしまったことは非常に無念」と話す。

 身なりや態度について、そもそも選考基準に明記すべきものなのか。同校関係者は「常識まで明文化を求めるのか…」と話す。

 元教育再生会議委員で神奈川県教委の教育委員を務める渡辺美樹・ワタミ社長は「神田高は3、4年前は非常に荒れており、入った生徒が半分以上辞めてしまう大問題の学校だった。(渕野前校長は)県教委が送り込んだ校長で非常にがんばってくれ、みるみるうちにいい学校にしてくれた」と高く評価する。

 県教委の説明では、渕野前校長は「ピアスや金髪、丈がおかしいスカートなど、『この高校に入りたくない』という態度を前面に出しているような生徒をなぜ入れなければならないのか」と話したという。

 それでも県教委が更迭したことについて渡辺氏は「校長職を解いただけで、更迭の認識はない。むしろ処分してはだめだと主張した。選考基準に服装や態度を盛り込んでいなかったのは単なるミスであり県教委側にも責任はある。校長だけが責められるべきではない」と話す。

【入試時、「問題あり」とされた例】

 まゆをそっている▽髪を染めている▽つめが長い▽態度が悪い▽胸ボタンが外れている▽服装がだらしない▽ズボンを引きずっている▽スカートが短い▽落ち着きがない▽軍手をつけたまま書類を受け取る…

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最終更新:11月15日22時53分

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