県は14日、出産前後の妊婦の高度医療体制拡充のため、国立病院機構長崎医療センター(大村市)の総合周産期医療センター病床数を、県の負担で増床する方針を決めた。20床から30床に増やす考えで、11月定例県議会に提出する補正予算案に計上される。
金子原二郎知事が同日、周産期医療体制の充実を陳情した県周産期医療検討委員会の森崎正幸委員長に明らかにした。
県によると、県内の周産期医療は長崎医療センターを中心に、長崎市立市民病院(15床)▽長崎大医学部・歯学部付属病院(9床)▽佐世保市立総合病院(20床)--の3地域周産期母子医療センターと地域周産期医療機関の佐世保共済病院(8床)で担っている。だが地域によって病床数は十分といえず、離島からの搬送患者を受け入れる長崎医療センターは特に満床が常態化している。
県負担での国立病院機構の増床は法律上のハードルがあったが、県は総務省と協議。多くの離島がある県の特殊事情が考慮され、増床見通しが立ったという。県が増床の改修工事費を捻出し、国の補助金が受けられるかは引き続き検討するという。
東京都内で妊婦が病院から受け入れを断られ、出産後に死亡した問題を受け、県内も周産期医療体制への関心が高まっている。知事は陳情に対し「できるだけ県民の不安を取り除いていきたい」と応えていた。森崎委員長は「私の試算では(増床によって県内の周産期体制は)十分だが、長崎市内ももう少し増やしてほしいという希望はある」と話していた。【宮下正己】
〔長崎版〕
毎日新聞 2008年11月15日 地方版