ホーム > きょうの時鐘


2008年11月15日

 誰にも間違いや勘違いはある。「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」、「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」と読んだ首相はまことに格好悪いが、さほど目くじらを立てるほどでもあるまい

漢字の読み間違いは、頭をかいて訂正すれば済む。別の読み違いをしていないのか、気になってきた。定額給付金は、首相の読み通りに景気浮揚の役目を果たすのだろうか。消費に回ってこそ役立つ給付金だが、消費税上げのたんかを聞かされた後である。ありがたみは薄れるし、派手に使おうという気分もしぼんでしまいかねない

野党も解散風を読み違えてはいないか。インド洋での給油活動延長法案が、20日にも成立の運びとなった。前政権を窮地に追い詰めた難題が一転、スピード決着を見る。解散風にあおられて、国会審議をはしょるのに手を貸した。そう見られても仕方あるまい

時に審議を引き延ばし、解散風が吹き始めると途端に急発進。風が遠のいた今は迷走中か。政局より政策、と声高に叫ばれながら、党首討論の気配もない

読み違いが時に命取りになることは、2代続いた「空気の読めない首相」で実証済みである。


ホームへ