Print this Post Article Lists Back

【コラム】不治の病の北朝鮮と付き合う覚悟(下)

 しかし、北朝鮮は気を付けなければならない。オバマ氏は容易い相手ではない。ブッシュ大統領は「先制攻撃」や「予防戦争」など過激な発言を行ったが、ブッシュ政権の一方主義的な外交に同調する友人はなかった。そのため、北朝鮮に対する圧迫と包囲も緩いものだった。一方、オバマ氏が掲げる多者協力外交は、米国単独によるむやみな行動態度を謙虚な姿勢に変え、友人を引き込んで問題をともに解決するやり方だ。対北朝鮮包囲網が張られれば、ブッシュ政権よりも何倍もすきがなく、抜け出す穴がなくなる。さらにオバマ氏は任期末のブッシュ政権とは違い、時間に関する限り余裕がある。十分な時間を活用して、今後は国際政治学の教科書にも載っている北朝鮮の「恐喝外交」の虚実を一つ一つひっくり返すだろう。一気に退治はできなくても急所を突くことができるようになる。そして、北朝鮮の「オバマ試し」が限度を超えた瞬間、手痛い一発を食らうはずだ。

 北朝鮮問題は結局、北朝鮮を「正常な国家」と見るか、「正常でない国家」と見るかだ。正常ならばアメとムチを織り交ぜ、悪い癖を直せるという希望を持てる。しかし、先天的に正常ではないことが確実ならば特に妙案はない。赤ん坊が食べられず、病気で命を落とし、担架で運び出されているのに、親が昼夜分かたず爆弾作りに没頭している家庭を正常と言えるだろうか。それならば北朝鮮が騒ぎを起こすごとにいちいち苦しむのではなく、不治のがんと親しくなるかのように北朝鮮の「非正常」を抱え込む覚悟を固めたほうがましだ。命が途絶えればがんも消える。われわれの民族的、道徳的な義務はその日が来るまで飢えた北側の土に芽生えながら、罪もなく枯れていく哀れな新芽を一つでも助けることに真心を集中させることだ。

姜天錫(カン・チョンソク)主筆

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る