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【コラム】不治の病の北朝鮮と付き合う覚悟(上)

 北朝鮮が再び騒ぎ始めた。おとといには部屋の扉をけり上げ、窓ガラスを割り、全身で壁に体当たりして、家中をめちゃめちゃにした。だが今回の騒動は「初期段階の措置」だというから、遠からず新たな騒ぎを起こすようだ。

 北朝鮮にとってはそういう行動に出るべき時ではある。韓国に李明博(イ・ミョンバク)政権が発足して9カ月がたつ。北朝鮮はこれまで、韓国の新しい親類がもちの一皿も回してこないと不満を募らせてきた。本当はもちを回さなかったのではなく、ドアを閉めて部屋に閉じこもっているから、回してやれなかっただけのことだが。ならばこれまで同様に頻繁にドアをたたき、勅使を送って長い贈り物リストを押し付けよう、というのが北朝鮮の考えのようだ。私たちがそんなふうに手なずけたのだから、北朝鮮だけを責めることもできない。北朝鮮は最近、欧州連合(EU)各国が国連に提出した北朝鮮人権決議案に韓国が名を連ねたことに不愉快な思いをしたことだろう。北朝鮮が開城への道と電話回線を同時に断つと言って怒る真の理由は別にあるようだ。民間団体が1ドル紙幣や中国の1元紙幣とともに気球にぶら下げ、北朝鮮上空に飛ばしている金正日(キム・ジョンイル)総書記に関するビラが気にさわったのかもしれない。北朝鮮は今回、韓国側と取っ組み合いのけんかに臨もうとする姿勢が歴然としている。

 もちろん北朝鮮の脳裏には、「黒いケネディ」と称されるオバマ米次期大統領の顔も浮かんでいる。南の親類よりも何倍も大きくその顔が浮かんでいるだろう。オバマ氏のファーストネームの「バラク」はアラビア語で「祝福」を意味するという。しかし、オバマ氏が病床の金正日総書記にとって祝福になる可能性は既になくなりつつある。選挙期間中に「金総書記と直接対話する」と述べたところ、「そんな危険な賭けを…」という逆風に直面し、今やその言葉自体が消えてしまった。北朝鮮の核問題は、オバマ氏が就任後直ちに処理しなければならない課題の優先順位から日ごとに押し出されている。世界的な金融危機、イラク駐留軍の撤収とアフガニスタンへの再配備、景気浮揚と失業解消、貧困者医療保険の拡大などの問題が浮上するたびに、北朝鮮の核問題の優先順位はどんどん下がる。関心が遠ざかるということはその問題を解決するために投じる資源も減ることを意味する。そのため、北朝鮮に回される米国産の「もち」もそれだけ小さくなる。北朝鮮はここで問題を複雑化して、核の商品価値を再び高めなければならないと計算したはずだ。

姜天錫(カン・チョンソク)主筆

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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