西日本鉄道(福岡市)が福岡市の路面電車復活に向けた検討を始める。11日にまとめた今後10年の経営方針に、公共交通の利用を増やす手段として「LRT(新型路面電車)導入の検討」を盛り込んだ。
西鉄は約90年間、福岡、北九州両市などで路面電車を運行。61年度には計2億6700万人が利用した。交通渋滞がひどくなって福岡市は79年、北九州市では00年に全廃し、主軸を路線バスに移した。だが、原油高や乗客減でバス事業は03年度から5年続けて赤字だ。
地下を掘る工事がいらないLRTは建設費が地下鉄より安く、1人を1キロ運ぶのに排出するCO2もバスの3分の1だ。地下鉄とバスの「いいとこどり」の交通機関として注目され、06年に日本初の本格的なLRTが富山市で運行を始めた。
ただ、交通渋滞がさらに悪化するなどの問題があり、実現はそう簡単ではない。西鉄の高崎繁行経営企画本部長は「(復活は)福岡市などの協力が得られるのが前提だが、市内を循環する路線があってもいい」と話している。(米谷陽一)