「子供は勉強すべき」と考える東京の小学生が19年前の45%から64%に増えたことがベネッセコーポレーションの調査でわかった。「テストはあったほうがよい」と考える子の割合も増えており、同社では、大人の考えを理解してその場にあった態度をとれる「良い子」が増えているとみている。
調査は1988年と2007年、東京23区の公立小学校6年生とその保護者を対象に質問紙に記入する方式で実施。88年は小6約870人、保護者は約820人。07年は小6、保護者とも約850人。小6の男女比は概ね半々で、保護者はほとんど母親が回答した。
「子供は勉強しなくてはならない」と考える小学生の割合は88年から18ポイント増え、07年には64%になった。また、「テストは自分の成績が分かるのであったほうがよい」も60%から74%に増えている。
同社の木村治生・教育調査室長は、88年より子供らしい「やんちゃさ」が抑えられ、「まじめ」な子供が増えているとして、「学力低下論議が起きて以降、家庭が子供の教育にかけるパワーが高まっているが、保護者の働きかけが多すぎると、子供の自立を妨げる」と懸念する。また、友達同士で切磋琢磨する機会や、地域の働きかけが減り、「家庭が子供に与える影響が大きくなっている」と分析する。調査では「人に負けるのが嫌い」な子は67%で、88年から8ポイント下がっている。
親が子供の進学に期待する割合も高まっている。07年調査で「子供を四年制大学・大学院に進学させたい」親は73%で、88年の47%と比べ26ポイント増。「実力より学歴を重んじる」と考える親は84%から67%に減っているものの、「わが子には受験戦争を勝ち抜いてほしい」は69%でほぼ変化がなく、「子供には受験の苦しみを味わわせたくない」が56%から35%に減るなど、学歴に対する意識はまだ高いことが伺える。
木村室長は「88年ごろに比べて、受験の厳しさが和らいでいることと、受験の苦労をすることも大切だという親の意識があるのではないか」と推測。中学受験をする子供たちの中では、受験で「人間として大きく成長する」と考える子が63%から76%に増えていることにも、親の考えが影響しているのではないかとみる。【岡礼子】
【関連ニュース】
「うちの子がネットいじめするかも」 親が心配 ネットスター調査
学校裏サイト:全公立2200校を監視−−都教委、来年度から
ネット調査:全国学力テスト 計80%、結果の開示求める