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ソマリア海賊の犯行急増 元は漁師、無政府状態で失業(1/2ページ)

2008年11月15日2時27分

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写真ソマリアの海賊たち。普段は交代で海岸から沖合を監視しているという=ソマリア中部ホビョ(提供写真)

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 【ナイロビ=古谷祐伸】事実上の無政府状態にあるアフリカ東部ソマリアの周辺海域で、海賊が暴れ回っている。13日にも日本人船員1人の乗った中国の漁船が乗っ取られた。人質を取り、身代金を要求する「海賊ビジネス」。その多くは、地元の元漁師たちの犯行だという。

 中国国営新華社通信によると、ケニア沿岸で13日夜(日本時間14日未明)、日本人1人を含む24人が乗った中国天津市の「遠洋漁業」所属の漁船、天裕8号が乗っ取られた。他の乗組員は中国人が15人、ベトナム4人、フィリピン3人、台湾1人。けがはなく、ソマリア沿海を航行するよう求められているという。付近で犯行を繰り返している海賊の犯行の可能性が高い。

 世界の海賊事件を調べている国際海事局(IMB)によると、今年1〜9月にソマリア沖で起きた海賊事件は63件。世界全体の199件の3分の1を占める。イエメン沿岸警備隊のまとめでは、未遂事件も日本郵船の大型原油タンカー「高山」襲撃を含め100件以上あった。

 中でも、注目を集めるのがウクライナの会社が運航する貨物船、MVファイナの乗っ取り事件だ。33台ものT72型戦車など兵器を満載していたことが判明。人質20人は、乗っ取りから1カ月半たった今もソマリア中部の漁港ホビョの沖合で60人を超す海賊に拘束されたままだ。

 海賊に詳しいソマリア人記者によると、海賊の大半はハラゼレやホビョなど中部の漁村を拠点にしている。自動小銃やロケット砲で武装し、複数の高速艇で襲いかかるのが手口だ。約15年前から出没し始め、この1、2年で急増。漁業会社がそのまま漁船を使って「海賊会社」に衣替えしたケースがほとんどで、複数の武装集団に全体で300人ほどが属しているという。

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