この国の文民統制が危険極まりない状況に置かれていることに、空恐ろしさを覚える。
歴史認識に関して政府見解を否定する論文を発表し、更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長が11日、参院外交防衛委員会に参考人招致された。
参考人招致があれば積極的に応じたい、と強気の姿勢を示していただけに、問題の論文については「いささかも間違っていない」と正当性を繰り返し主張した。
あきれたことに、「国を守ることについてこれほど意見が割れるものは直した方がいい」と憲法九条の改正を表明するに至っては、何をかいわんやである。
前空幕長には、言論の自由を履き違えた発言が目立つ。
更迭された3日夜、「このぐらいのことが言えなくては、自由と民主主義の国ではない」と言い放った。国会でも「われわれにも言論の自由があることを主張するつもりだった」と答弁した。
航空幕僚長といえば、防衛相の最高の助言者の一人である。研さんを積んで、高いレベルの歴史観を持つべきであろう。そのような立場をわきまえずに、「言論の自由」はなかろう。
インターネットを閲覧すると、田母神論文を擁護する意見が散見される。気掛かりなのは、軍事をコントロールする立場にある政治家の体たらくぶりである。
11日午前の自民党国防関係合同部会では、「なぜ悪いのか分からない」「懲戒処分しようとしたのは問題」などと、田母神・前空幕長を擁護する意見が相次いだことだ。
文民統制の機能不全ともいうべき事態を政治の側は重く受け止めるべきである。
この国は、再び戦争ができる状態に地ならしが進んでいるように感じる。
フランスの政治家が、大戦後に発した「戦争は軍人に任せるにはあまりに重大な仕事」との警句を今こそかみしめたい。
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