「日本にいたい」、比人少女に支援の輪
「生まれ育った日本にいたい」。少女の訴えは届くのでしょうか。埼玉県の公立中学校に通う13歳のフィリピン人の少女が、今月27日までに強制退去を迫られている問題で、森法務大臣は会見で「個別のケースでは人道的配慮も必要」と述べました。 埼玉県の公立中学校に通う、フィリピン国籍のカルデロン・のり子さん(13)。日本で生まれ、友達に囲まれて育ちました。 「(日本は)私の大好きな国です」(カルデロン・のり子さん) しかし2年前、両親の不法滞在が発覚。一家は今月27日までに、日本から出国するよう命じられてしまったのです。 「やっぱり自分は日本で生まれ、今まで頑張って日本で勉強してきのに、今さら帰って友達もいないのに、勉強も全然分からないのに帰らされるのは絶対に嫌です」(カルデロン・のり子さん) 幼いころからずっと一緒に遊んできた、親友の大塚絵夢さんもショックを隠せません。 「のり子ちゃんがいるから毎日学校とか面白くて、いつも明るくできるけど、のり子ちゃんがいなくなったら・・・」(親友の大塚絵夢さん) のり子さんの両親は15年以上も前に、他人名義のパスポートで日本に来ました。自分達の行為が娘を追い詰めてしまったと、両親は肩を落とします。 「のり子が一番かわいそうだと思う」(父・アランさん 36歳) 「ここまで(長期滞在には)ならないと思った。子供が一番かわいそう。オーバーステイ(不法滞在)になり本当に申し訳ない」(母・サラさん 38歳) しかし、地域の人たちの中には両親をかばう声もあります。父のアランさんは解体工事の現場で、母のサラさんはクリーニング店などで真面目に働き続けてきたからです。 「まじめな方です。仕事も熱心で」(アパートの大家) 「日本の若い人がやらない仕事を頑張ってやっているんだから、それをみてあげないとかわいそうだ」(近所の美容院店主) 今月9日、父のアランさんの仕事仲間も自宅に集まり、一家を励ましました。 「おれは外国人だけど、国は違うけど・・・仲間にしてくれる」(父・アランさん) 一家が望みを託しているのが、法務大臣の裁量で日本に残る資格を与える「在留特別許可」。森法務大臣は14日朝の会見で、「一般論としては強制送還もやむをえない」としたうえで、こう述べました。 「個別のケースでいろいろ事情をしん酌してですね、人道的配慮を加えることも必要と思っている」(森英介法相) また、文部科学大臣も・・・ 「まずは親の責任が大きいかなと思いますね。ですから一概にコメントできないが、日本で生まれて育って、日本の学校に通って、子供だけのことを考えれば、ずっといさせてあげたいなという気持ちはある」(塩谷立文科相) 2人の大臣の発言を聞いたのり子さんは・・・ 「わたしたちの願いをしっかり聞いてくれてるんだな。(日本に残ることを)認めていただければ、本当にうれしいです」(カルデロン・のり子さん) のり子さん一家を日本に残して欲しいと、広がり始めた支援の輪。 「(嘆願書を)法務大臣に最初から最後まで読んでもらって、とにかくいてほしい」(のり子さんの同級生) 一家は集められた法務大臣あての嘆願書を来週、提出するとしています。(14日16:15)
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