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【主張】CO2排出増 対温暖化に原子力活用を
平成19年度に日本国内で排出された温室効果ガスの量が18年度のそれを2・3%も上回った。困った事態だ。
環境省によると、総量は二酸化炭素(CO2)換算で13億7100万トンにのぼる。なおかつ、過去最大の排出量であるという。
地球温暖化防止を目指す国際条約の「京都議定書」によって、日本は今年度からの5年間(第1約束期間)の平均で、基準に定められた1990(平成2)年の時点より、6%減らさなければならない義務を負っている。
その1年前での状況である。19年度の排出量は、基準年比で8・7%もの増だ。約束期間の開始は今年4月からだが、今後この慣性力を持つ増加傾向を抑え、減少に転じさせるのは容易でない。
昨年度の温室効果ガスが大きく増加した原因は何なのか。
その主因は、19年7月に起きた新潟県中越沖地震によって東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の7基の原子炉が停止し、火力で代行していることだ。
原子力発電に伴うCO2の排出は、ゼロである。環境省は、国内の原発が順調だった平成10年の稼働率を19年度に当てはめて計算してみている。
するとどうだ。19年度の排出量はぐっと減り、増加分も18年度比で0・5%、基準年比では3・7%に抑えられていたはずであることが確かめられた。
原子力発電が地球温暖化防止に役立つことは、このように明白だ。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」も原子力の貢献に注目している。
この機会に、原子力発電を再評価すべきであろう。原子力を抜きにして、地球温暖化防止を成功させることは難しい。
電力需要は、世界的にこれからも伸びていく。大規模な太陽光発電や風力発電を導入するとなれば、それと同規模の火力発電所が必要になる。曇ったり、風が弱まったりすると、自然エネルギー発電は出力の低下変動が著しい。
それを補完するには、即応力のある火力発電が必要で、結果としてCO2が排出される。こうした現実を冷静に踏まえれば、原子力発電の必要性は明らかだ。
柏崎刈羽原子力発電所も停止したまま、2度目の新年を迎えようとしている。安全の確認された原子炉から速やかに再稼働させていくことが望まれる。