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【主張】検定基準見直し 勉強好きになる教科書に
文部科学省は検定審議会に教科書検定基準を改定する原案を示した。
検定基準は教科書編集の指針となるものだ。今年度中に改定される。教科書が変わるのは小学校は平成23年度、中学は24年度からだ。高校も順次改定される。新しい検定基準を生かし、学力向上のため、脱ゆとりを進めてほしい。
検定基準原案は、学習指導要領の範囲外の「発展的な学習内容」の記載分量の制限をなくすほか、公共心や愛国心などを重視した教育基本法改正を踏まえ、教科書が質量とも充実するよう促している。ゆとり教育でページが薄い教科書では考える力は育たず、検定基準見直し方針を評価したい。
教科書への批判はこれまでもあった。小学校教科書について文科省の専門家会議のアンケートで文学作品が少ないと感じている教員が半数に上り、漫画やイラストが多すぎるなどの意見もあった。
同会議は詩や古典などの朗読・暗唱教材充実や練習問題を増やすことなどを提言した。政府の教育再生懇談会も諸外国に比べ、薄い日本の教科書の現状を指摘し、国語や理科、英語のページ数の倍増などを提案した。
現行の学習指導要領は昭和40、50年代のピーク時に比べて学習内容が半減した。新指導要領は、ゆとり教育の反省から基礎・基本を着実にこなすとともに読解力、思考力を育てるねらいだ。
見直しの具体策は、小中学校で教科書の1割程度、高校で2割程度と歯止めがある発展的学習の記述の制限をなくすなどだ。復習や自宅学習などにも配慮した教科書づくりに有効である。
また、教育基本法に盛り込まれた伝統文化の尊重、国と郷土を愛する態度などの教育目標に沿った教科書の記述が分かるよう検定申請時に資料を求める。
このほか公正、中立でバランスのとれた記述を確保するとし、社会科では一面的な見解を取り上げないことなどを明確化するとしている。教科書会社、執筆者は徹底すべきである。
歴史教科書では南京事件の犠牲者数で誇大な数字を挙げるなど信憑(しんぴょう)性の薄い記述が依然として多く、是正しなければならない。
世代を超えて語り継ぐ人物の歴史や物語が教科書から消えている。それでは古典や歴史が好きな子供は育たない。教科書に工夫をこらしてほしい。