広島市安佐南区、安佐北区をエリアとする安佐医師会による「夜間急病センター」構想が、暗礁に乗り上げている。建物や医療機器を市が設置し、医師会の開業医が診療する「公設民営方式」を打ち出し、市も夜間診療をしている市立病院の負担軽減を目的に前向きだ。だが、人材不足や訴訟リスクへの懸念から医師会内での合意形成が難航している。
当初計画によると、センターは、安佐南区八木5丁目にある医師会の敷地(約9800平方メートル)の一部を提供。市が施設を建設して、医師会の開業医が平日午後7―10時半、内科と小児科の診療をする予定だった。医師会理事会がまとめた請願が2006年12月に市議会で採択され、実現へ向け市と協議を始めた。
ところが、採択後に医師会の会員から異論が相次ぐ。特に小児科医の部会は(1)開業医23人のうち約半数が高齢や病気を抱えている(2)病状が急変した場合の救急病院の受け入れ態勢が不安(3)訴訟リスクが高い―の理由で「協力できない」との現状方針を示す。
医師会理事会は、内科に絞ってセンターを立ち上げる次善の策を掲げ、今年8月に開業医の会員379人にアンケート(有効回答率65%)を実施。「賛同」「おおむね賛同」が計57%を占めたが、自身が診療を受け持つかどうかは「協力しない」が68%を占める厳しい結果が出た。
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