【北陸発】ICU いつも“満杯” 県周産期医療拠点 いしかわ総合母子医療センター2008年11月15日
県 『将来的には増床、増員も』東京都で脳内出血を起こした妊婦が八医療機関で受け入れを断られ死亡したことを受け、周産期医療体制が社会問題化している。石川県では県立中央病院(金沢市鞍月東)に設置された「いしかわ総合母子医療センター」が拠点医療機関となっているが、センターで重篤な母親や新生児を受け入れる集中治療室(ICU)は慢性的に“満杯状態”。これまで転送先すら見つからず手遅れになった事例はないが、高齢出産などリスクの高い出産は今後増えると予想され、現状の体制で十分とは言い切れない。 (宮尾幹成) 総合周産期医療センターは、妊娠二十二週から出生後七日未満の「周産期」に当たる母親と胎児、新生児を総合的に診療する拠点施設。国は都道府県に最低一カ所の整備を求めており、いしかわ総合母子医療センターは二〇〇五年十月に設置された。 県によると、センターの母胎胎児集中治療室(MFICU)=六床=の〇七年度利用率は81・7%、新生児集中医療室(NICU)=九床=は96・9%。特にNICUは極めて高い数字だが、小康状態にある患者を移せる「後方病床」が各十六床あり、こちらは比較的余裕がある。 また、金沢市近郊にある三つの高度な医療機関(金沢大付属病院、金沢医科大付属病院、金沢医療センター)と連携し、空床状況の情報などを共有して対応している。 いしかわ総合母子医療センターは現在、産科医十人と小児内科十人、小児外科三人の二十三人体制。産科と小児内科は夜間、それぞれ当直一人と自宅待機一人で、五日に一度はどちらかが回ってくる計算となる。 小児外科は三人で自宅待機の当番を回しており、医師の長時間勤務や「うちが最後のとりで」(中央病院の山田哲司院長)という責任感が二十四時間体制を支えている面はある。 県は現状の病床数で運営できているとして、ただちに増床する考えはないとする一方、「ハイリスクの出産は増えている。将来的には増床や医師増員も検討しなければならないだろう」と認める。
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