京都、奈良といった関西の紅葉の名所も見ごろがやってきました。地図のように色分けされていく景色は季節の移ろいが感じられ、心和みます。その一方で、激動の様相を呈す社会の“色地図”には驚くばかりです。
経済界では先般、大阪市内で、大手電機メーカー・パナソニックが三洋電機の子会社化を発表。業界再編は加速しています。国際競争力の強化を掲げ、華やかに繰り広げられる大手企業の合併劇の陰で、懸命に生きる労働者が気にかかります。
少子化により全入時代を迎えた大学の生き残りをかけた競争も、激しさを増しています。関西では優秀な学生の確保へ、高校を傘下に置く系列化や、大学同士の法人合併が始まっています。東京の有名私立大が大阪に設けた拠点は、西日本への足がかりでしょうか。
地方分権時代を見据えた道州制の議論では、中国地方の鳥取県が近畿圏へ積極的にアプローチしています。今年六月に近畿知事会、翌七月には道州制をにらんだ連携組織・関西広域機構に加盟した平井伸治・鳥取県知事の講演が先日、大阪市内でありました。平井知事は関西にとって、鳥取県が東アジアの玄関になりうると力説、「古くから関係の深い畿内との連携が、鳥取の発展につながる」考えを示しました。
岡山県では来春、岡山市の政令市移行が大きな転機でしょうか。活力ある地域づくりへ、岡山をはじめ広島、香川県の瀬戸内地域がどういう色を出していくのか。経済や市民生活など、あらゆる観点から真剣に方向性を見いだす時に来ているのだな、と実感しています。
(大阪支社・大本哲弥)