《検察側に引き続き、弁護側の冒頭陳述が始まった。裁判長に促され、女性弁護人が立ち上がる》
女性弁護人「それでは始めます。先ほど木村(衣里被告)さんが述べた通り、木村さんは藤家(英樹)さんを刺した記憶がありません。自分の意思で大好きな藤家さんを刺すことはない、ということです」
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《検察側は、衣類の傷の形状や凶器の果物ナイフが自室にあったことなどから衣里被告の犯行であることを主張したが、弁護人はどういう筋道で無罪を主張するのだろうか》
女性弁護人「本件犯行当時、木村さんは藤家さんから頭や全身を殴られ脳震盪(しんとう)を起こし、記憶を失うほどでした」
《衣里被告は犯行時の記憶がないと主張したが、弁護人は、記憶の欠如は藤家さんから受けたSM行為が影響していると指摘する》
女性弁護人「確かに2人は異常な性行動をしていましたが、木村さんは傷つけ合うことに性的興奮はありませんでした。SM行為の延長で木村さんが刺したとは、簡単には考えられないのです」
《弁護人は、木村さんが自分の意思で体を傷つける行為をする性的趣向はなく、藤家さんを刺す動機もない−と主張する。そのうえで、裁判に臨む衣里被告の心境を代弁した》
女性弁護人「木村さんは今でも事件を思い出すことはできません。どうして最愛の藤家さんが死んだのか、裁判を通じて知りたいと願っています」
《続いて弁護人は2人の関係について言及する》
女性弁護人「木村さんと藤家さんとは20歳のころ知り合い、22歳のころ本格的に交際し、半同棲生活を始めました」
《10年ほど交際を続けた衣里被告と藤家さん。弁護人は2人の性生活を含めた交際状況について赤裸々に語り始める》
女性弁護人「交際を始めて1年くらいすると、藤家さんは木村さんに拳(こぶし)や物で殴るなど、激しい暴力を振るうようになりました」
《暴力を振るう性的趣向があった藤家さん。検察側は衣里被告がSMプレイの行き過ぎで刺したと主張しているが、弁護側がSMプレイと犯行をどう結びつけようとするのだろうか》
女性弁護人「木村さんが暴力でぐったりしますと、その姿をみて藤家さんは『衣里を傷つけた』『衣里に詫びる』と言って、自分自身を殴ったり刃物で傷つけるなどの自虐行為を始めました。そしてそうした行為の後に2人はセックスをしていたのです」
《暴力、自虐行為、セックスを繰り返すことが2人の日常的な性行為だったとことを明らかにする》
女性弁護人「事件前には木村さんは強く殴られるようになり、これまでも脳震盪を起こすことがありました。目覚めると体が傷だらけで部屋は散らかり、セックスをした形跡があるが、何があったかわからない、ということが続いていました」
《すさんだ生活状態が浮かんでくる。だが、それでも衣里被告は藤家さんを愛していた−と弁護側は訴える》
女性弁護人「木村さんは藤家さんの暴力やセックスを受け入れ、生涯をともにするつもりでいました」
《被告人席で衣里被告は、胸を突き出すように背筋を伸ばし、静かに聞き入っている》
=(5)に続く
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