2008年10月27日

◆ 知的生産とパソコン

 知的生産のためにパソコンを活用したいのであれば、Gmail なんかよりも、ずっと役立つ方法がある。IME の最適化だ。

    ( 本項は、前項 の続きです。)

 ──

 知的生産の方法というのは、結構話題になる。しかし、(前項 の)野口悠紀雄の方法は、そもそも非本質的だ。
 彼の方法は、
 「他人からもらった大量のデータをどう保管・検索するか」
 ということだ。一方、
 「自分で作成したデータをどう保管・検索するか」
 ということなら、どうやろうが、たいして困りはしない。フォルダ分類であれ、無分類の日付順であれ、デスクトップ検索であれ、何だって構わないのだ。各人が勝手にやればいい。どうせ大差はないのだから。
( ※ もちろん、彼の推奨する Gmail の方法でもいい。それを採用することを否定はしない。「それだけ」というのは、さすがにまずいと思うが。)

 ──

 では、問題は? すでに作成したデータをどうするか、ということではない。これから新規に作成するデータをどうするか、ということだ。
 つまり、データについては、保管・検索よりも、生産こそが大切だ。これこそが「知的生産」というものだ。
( ※ 野口悠紀雄の推奨していることは、知的生産そのものではなく、知的生産のための下準備にすぎない。)

 ──

 では、知的生産そのものを向上させるには? それを以下では考えていこう。

 知的生産のために最初に必要なのは、(核心となる)アイデアの創造だ。それは、一言で言えば、「ヒラメキ」だ。
 では、ヒラメキをもたらすには? これについては、数日前の NHK テレビで話題にして、放送していた。この番組が始まったとき、私は馬鹿にしていましたね。
 「ふん。うまくヒラメキを出す方法なんか、あるものか。打ち出の小槌みたいなものはない。あるとすれば、貧弱な才能から豊かなアイデアを頻出させる方法ではなく、豊かな才能の発現を阻害しない方法だけだ。それは、睡眠だ」

 こう思った。そして、NHK がかわりに、どんな見当違いなアイデアを出すのかと思って、興味津々で見ていたら……
 スタジオ・ジブリの宮崎監督やら、他の芸術家やら、独創性のある人々がいろいろと出てきて、みんな異口同音に言っていた。
 「アイデアの源泉は睡眠です。疲れたら、一晩眠る。そのあとでヒラメキが出る」
 「単に眠るだけでなく、徹底的に考えてから、眠る。すると、睡眠中に、アイデアが整理される。目覚める瞬間にアイデアが思い浮かぶこともある」
 だって。 
 あらら。……予想が外れた。NHK も頑張りますね。脱帽。   (^^)P

 ──

 ともあれ、ヒラメキの方法はわかった。では、そのあとは?
 ここでは、言葉が非常に重要となる。「思考の言語化」。これこそが、非常に重要になる。
 これについては、次のページを、じっくり読んでほしい。
   → なぜ言語力が重要か?

 ──

 言語力の養成は、それはそれで別途ある。(言語化の訓練を積むといい。)
 さて。それとは別に、すでにある言語力を発揮させるには? 強力であれ貧弱であれ、自分の言語力をフルに発揮させるには? 

 ここで、パソコンが登場する。パソコンというよりは、ソフトが登場する。これは、思考の言語化のための道具である。
この道具をうまく使うことで、知的生産が向上する。
( ※ すでにあるデータを整理するためのソフトではない。いまだ存在しないデータを生み出すため、つまり、思考の言語化のためのソフトだ。勘違いしないように。)

 では、知的生産のためのソフトとは? どんなものか? 
 ここで、たいていの人は、「エディタ」とか「アイデアプロセッサ」とか「ワープロ」とか「データベース」とかを持ち出す。
 しかし、それは、データの加工のためのソフトだ。いったん言語化したあとで、言語化した結果としての文章を加工するためのソフトだ。それはそれで有効だろう。だが、その前に、まずは「思考の言語化」という過程がある。

 ──

 では、「思考の言語化」という過程では、どんなソフトが役立つか? それは、IME (日本語のカナ漢字変換ソフト)だ。
 具体的には、次のようなものが普及している。
  ・ MS-IME 2002
  ・ MS-IME 2007(Vista版)
  ・ MS-IME 2007(Office版。MS-Office 2007 付属)
  ・ ATOK (バージョン差は少ない)


 これらの能力は、はっきりと差がつく。優れた順に並べて、評価すれば、次の通り。
  ・ ATOK          …… 特に文句なし
  ・ MS-IME 2002     …… 能率が少し劣る
  ・ MS-IME 2007(Office版)…… 重たい。能率が悪い。
  ・ MS-IME 2007(Vista版) …… 重たい。能率が最悪。


 MS-IME 2007 は、サービスパックなどをダウンロードして修正をすることで、致命的な弱点がいくらか改善する。とはいえ、基本的な品質の悪さは、どうしようもない。こんなものを使っている限りは、知的生産の能率は最悪になる。

 だから、「知的生産のために何をするべきか?」と問われたら、こう答えればいい。
 「何かをなすというより、何かをやめればいい。何かすばらしいことをするまでもなく、最悪の泥沼に足を突っ込むことだけはやめればいい」
 「特に、MS-IME 2007(Office版 も Vista版も)は、使用をやめればいい」

 
 ──

 以上のアドバイスこそ、多くの人々には役立つ。しかしながら、現実には、このアドバイスは流布しない。

 (1) 野口悠紀雄のような文筆家は、「これはすばらしい」というふうに Google や MSの宣伝をすることが仕事だ。彼らは、「 Google やMSの商品を使っては駄目だ」というふうには語らない。たとえそれが真実だとしても語らない。(宣伝はするが、批判はしない。彼らが誰のために働いているかは自明だ。)

 (2) 池田信夫のようなIT音痴は、ATOKの使い方を知らない。
   → 馬鹿なIMEと頑固なATOK
 彼はさすがに、「MS-IME 2007(Vista版)は駄目だ」と気づいた。(その前に、 Vista なんていうクズOSを使うという点からして、どうかと思うのだが、まあ、文系なんだから、それしか選べなかったのだろう。)
 ただし、彼は「MS-IME 2007(Vista版)は駄目だ」と気づいたあと、まともに対処できないようだ。とりあえず、ATOK を使って、「これはとても賢い IME だ」と認識した。だが、ATOK を使わない。
 彼はなぜ、ATOK を使わないのか? 「 ATOK は部分的に機能が劣る」と思ったからだ。ただし、いかにも彼らしいのだが、本当は、「 ATOK の機能が劣る」のではなく、「自分は(初心者なので)使い方がわからない」ということだった。
 では、使い方とは? 
 第1に、「x」で「ん」を出す、という方法。これについては、読者がコメント欄で方法を教えてくれた。だが、彼は素直に言うことを聞かない。(自分が間違っていたと認めるくらいなら、使わない方がマシだ、というわけ。)
 第2に、ATOK の購入法を知らない。彼は購入方法として、「毎月 300円」というレンタルふうの方法を見つけ出す。2年で 7200円になる。これではとうてい割に合うまい。で、「高いから、やーめた」だって。
 しかし、彼のような初心者でなく、普通の人ならば、そんなに高くはないと知っている。店やネットで商品を選ぼうとすれば、以下のことが簡単にわかる。
 すなわち、MS-Office のユーザーならば、「乗り換え版」を買えばいい。これは 8000円弱で、ATOKもあり、一太郎もある。さまざまなフォントなどのオマケもある。これを永久利用できるのだから、お買い得であろう。(特に、一太郎の「文書校正機能」は、なかなか有益だ。プロにはお勧め。)
 しかし、彼はこの標準的な買い方を知らないので、「 ATOK なんて駄目だ」と決めつけて批判する。そして、「頑固なATOK」という題のコラムを書く。
 ふうむ。頑固なのは、どっちなんだか。  (^^);

 ただし、好意的に解釈すれば、彼の主張したいことは、こうなのだろう。
 「『自分は正しい、相手が間違っている』と頑固に言い張ると、優秀なソフトを使うこともできずに、知的生産が大幅に落ちてしまいますよ。だから、頑固に意地を張るのは、やめましょう」
 そのことを、身をもって示しているわけだ。なるほど。他山の石か、反面教師になる。そのために、自己犠牲をする。  (^^);
 ご立派。野口悠紀雄よりは正しいのかもしれない。(その割には、野口悠紀雄ほど、儲かっていないようだが。)

 ──

 結論。

 知的生産のためには、IME の能率アップが大切だ。なぜなら、言語化の過程では、うまく言語化することが何よりも大切だからだ。そこでは、ストレスなく、スムーズに脳内思考を指先で変換することが、とても大切だ。
 しかも、それをなす回数は、ものすごく多い。文章を書くたびに、何百、何千、という漢字変換を行う。その能率が5%アップしただけでも、すごく効果は高い。
 だからこそ、IME の能率アップは、きわめて大切だ。ここで能率アップを図ることこそ、「知的生産」のための最も有効な方法となる。



 【 応用編 】

 さらに、(素人ではなく)頭のいい人向けに、最高の方法を教えよう。それは、「完全なブラインドタッチ」の実現である。このことによって、知的生産は大幅に向上する。

 なお、既存の方法では、「完全なブラインドタッチ」は不可能だ。
  ・ 入力ミスでBSキーを押すと、指がホームポジションから離れる。
  ・ 漢字の変換や確定の際に、指がホームポジションから離れる。

 これらの問題があるので、「完全なブラインドタッチ」は不可能となる。

 では、どうすればいいか? 私の開発したフリーソフトを使えばいい。これによって、大幅な能率アップが可能となる。
  → カスタマイズファイルHomes

 使ったことがない人は、使うことをお勧めする。
 なお、従来の操作環境が失われることはない。切り替えは容易に可能。

 《 注記 》


  ( ※ 同じソフトは Vector などの大手サイトでも入手可能。
      ただし、上記サイトが本家であって、品数も多い。)
  ( ※ 開発が古いバージョンで止まっているが、変換することで、
      新しいATOKにも使える。)
  ( ※ MS-IME2002 用は、そのまま使える。)
  ( ※ MS-IME2007 用は、開発は済んでいるが、公開していない。
      そもそも MS-IME2007 を使わない方がいいので。)
  ( ※ どうしても使いたい人のために、ベータ版を用意する。
       → MS-IME2007(MS-Office 2007版)用の Homes
             ダウンロード用ファイル
     これは、作動は確認されているのだが、しかし、インストール法や
     解説の文書は同梱されていない。詳しくは、旧版の文書を参照。
     どっちみち、面倒なので、Homes 未経験者は使用禁止。
     また、MS-Office 2007版用であり、Vista版用ではないので、
     間違えないように注意。)
 


 【 関連項目 】
  → 続・知的生産とパソコン (次項)

 ※ IME だけでなく、パソコン一般について、知的生産の方法。
posted by 管理人 at 19:38 | Comment(4) | コンピュータ_04
この記事へのコメント
ATOKに変えると明らかにMS-IMEとは効率違いますよね。
バカな日本人の生産性を落としてやろうというMSの陰謀なんじゃないかと(冗談ですw
Posted by sumeshi at 2008年10月29日 22:47
細かい疑問なのですが
記事の中で「乗り換え版」とありますが

これは、「一太郎2008 特別優待版」のことですかね?
「乗り換え版」っていうのを探してみたのですが見つからなかったので・・・
Posted by いーじす at 2008年10月31日 19:16
 失礼しました。多分そうだと思います。似たようなものがいくつもあるとは思えないので。
 とにかく、MS-Office 対象の乗り換え用の廉価版です。名前はうろ覚え。
Posted by 管理人 at 2008年10月31日 19:48
MSKKの元会長で現在は慶応大学教授の古川享氏のブログ

http://furukawablog.spaces.live.com/Blog/cns!156823E649BD3714!9079.entry

MS IMEさらに...お馬鹿になっていく
Posted by 通りがかり at 2008年11月01日 01:11
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