【社説】中国が北朝鮮の資源・市場を飲み込んでいる
産業銀行の傘下機関である産銀経済研究所は「中国の対北朝鮮投資動向分析」を発表するとともに、「中国の対北朝鮮投資が拡大するにつれ、北朝鮮経済における中国の影響力が拡大している」とし、何らかの対策が必要であるとの見方を示した。
北朝鮮に対する外国からの直接投資額のうち、中国資本が占める割合は、2002年の時点では4.6%だったのが、2005年には43.7%に急増した。投資額の規模で見ても、当初の150万ドル(約1億8000万円)からほぼ10倍に増えている。さらに非公開の経路を通じて北朝鮮に投資された中国の資本は、この額を大きく上回るものと推測されている。
注目すべきは中国からの投資の70%が鉄、銅、モリブデンといった鉱物開発に集中している点だ。代表的なケースとして、中国が茂山鉄鉱開発に70万人民元を投資し、その対価として50年間の採掘権を手に入れた例が上げられる。羅津港の拡張事業に3000万ユーロ(約48億1000万円)を投資して50年間に及ぶ埠頭(ふとう)運営権を確保したのをはじめ、鉱物運搬用の埠頭や道路への投資も目立つ。
鉱物資源はミサイルなど大量破壊兵器を除けば、北朝鮮が世界市場に出荷できるほぼ唯一の輸出商品と言える。その鉱物資源も中国が50年間も掘り続ければ、完全に枯渇してしまうことだろう。
正当な対価を受け取った上での取引なのかといえば、そうでもない。むしろ、いいようにやり込まれていると見たほうが正しい。いつかは南北の人々が一緒になって統一韓国の建設のための礎としなければならない民族の共同財産を、みすみすと中国の手に渡しているのだ。大韓帝国の末期、平安道の金鉱採掘権や白頭山近くの山林伐採権を西欧の列強にただ同然で売ってしまった悔しい記憶と似たことが、100年後の今また繰り返されている。
北朝鮮市場における中国製品のシェアは70%以上にのぼる。北朝鮮経済が急速に中国市場に飲み込まれつつあるのは間違いない。そのため北朝鮮が遼寧省・吉林省・黒竜江省に続き中国東北地域の4番目の省になってしまうのではないかとの声が上がっている。
北朝鮮に対する経済支援の額だけで言えば、韓国も中国に負けず劣らず多くを支援している。それにもかかわらず韓国には北朝鮮経済に対する影響力はほとんどない。韓国が北朝鮮で行った資源開発といえば、鉱業振興公社による黄海道の黒鉛(グラファイト)鉱山開発の1件しかない。
北朝鮮が「中国東北4省」の1省に転落する悲劇を防ぎ、統一後の開発に備えるためにも、南北交流・協力事業には思い入れよりも、民族の実利を優先すべき時が来たのではないだろうか。
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