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【社説】北の資源・道路・港湾が中国に飲まれている

中国は昨年、北朝鮮から2億7453万ドル(約300億円)分の鉱物資源を輸入した。一方韓国が北朝鮮から輸入した鉱物資源の総額は5973万ドル(約64億8000万円)で、中国の5分の1にすぎない。北朝鮮との貿易規模は韓国が12億ドル(約1300億円)、中国は16億ドル(約1700億円)とそれほど大きな差がないが、鉱物資源ではこれほどの差が開いているのだ。これは大韓商工会議所が発表した「北朝鮮における地下資源の共同開発戦略」によって明らかになった。

 中国は数年前から北朝鮮の主要な鉱山の採掘権を立て続けに獲得している。中国はこれまでに、北朝鮮で最大の鉄鉱石産地である咸鏡北道の茂山鉱山(期間50年)、両江道の恵山銅山(同25年)、平安北道の竜登炭鉱(同50年)の採掘権を手にしている。また北朝鮮と中国は黄海海上での油田共同開発に関する協定も結んでいるが、具体的な内容については明らかになっていない。

 中国はまた、羅津湾第3・第4埠頭(ふとう)を増設・新設する代わりに、50年間にわたる使用権を獲得した。豆満江流域では中国に輸出する商品を運ぶため、羅津湾につながる道路の使用権も手にしている。さらに鴨緑江では水力発電所2基を建設する代わりに中国側に電力を送り、元山沿岸では中国が漁業権を確保した。ここまで来ると、北朝鮮が中国の旧満州経済圏である「東北三省」に編入され、「東北四省」となるという話も現実味を帯びてくる。

 北朝鮮の鉱山資源の規模は総額で2287兆ウォン(約270兆円)に達すると推算されている。仮に韓国国内で1年に必要とされる鉱山資源の4分の1を北朝鮮から輸入したとしても、800年間は枯渇しないほどの量だという。そうした「統一韓国」の建設という目標においても重要な役割を果たすはずの資源が、中国に二束三文で売られていっているのだ。

 もちろん目の前の経済的困難を乗り越えるのがやっとの北朝鮮が、中国に強く要求できるはずもない。19世紀末に雲山鉱山や稷山金鉱の採掘権や京仁・京釜・京義鉄道の敷設権、鴨緑江流域・鬱陵島の山林伐採権が列強の手に渡ってしまった時の状況が、繰り返されているのだ。

 北朝鮮の核問題が未解決である中、南北経済協力にはさまざまな意見があるが、民族共通の財産を守るためには、韓国の与野党や左右両陣営の枠組みを超えた国家的な戦略を整えるべきだ。そのためにも、まずは北朝鮮と中国の間で結ばれた不平等な契約について実態を把握することから始めなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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