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北朝鮮への影響力拡大をめぐって中露間に火花

 ロシアと中国が、北朝鮮と極東地域における自国の影響力拡大競争に乗り出した。

 ロシア鉄道公社の機関紙「グドック(汽笛の音)」は先月30日、「中国が(北朝鮮の)羅津港を独占した場合、ロシアは韓半島(朝鮮半島)縦断鉄道(TKR)とシベリア鉄道(TSR)の連結事業などで多大な損失を被る可能性がある」と報じた。

 同紙は、鉄道公社の社長であり、プーチン大統領の後継争いで有力候補の1人とされているウラジーミル・ヤクーニン氏が発行している。そのため、外交消息筋らは「同紙の見解は、事実上対北影響力の拡大を図ろうとするロシアの公式的な立場とみなしても構わない」と指摘している。

 同紙は「中国はすでに羅津港の開発妥当性の検討を終え、コンテナ荷役およびふ頭の改修作業を進めている。だが、羅津港は羅津からハサンを結ぶ鉄道の起点となるだけでなく、不凍港であるため、ロシアが確保すべきだ」と主張している。

 実際に中国は、昨年3月に琿春のある貿易会社を窓口として357億ウォン(約46億円)を北朝鮮に投資、羅津港のふ頭・道路を建設し、50年間の共同開発・使用権を取得したことが分かっている。

 また同紙は「すでに国連開発計画(UNDP)が推進している豆満江開発事業で、中国は自国民のこの地域での自由通行権を要求し、最終的には北朝鮮領内に自国の港を作り、太平洋に進出しようとしている」と警戒感をあらわにし、ロシアの積極的な対応を促した。

 これと関連し、韓国政府のある消息筋は1日、「ロシア政府は韓国の支援を受けず、独自の予算で羅津-ハサン間(総延長54キロ)の鉄道を現代化する計画を積極的に推進するとしており、韓国側には釜山-羅津航路を通じたコンテナ輸送を増やしてほしいとの提案を昨年末にしたことがある」と伝えた。現在、北朝鮮の列車だけが一部運行している羅津-ハサン鉄道は、軌道が狭くコンテナ輸送に適合していなかったため、ロシア側が昨年7月からコンテナ輸送に適合するよう現代化工事を行っている。

 現在、極東地域に1万人余りの建設労働者・伐木作業者を派遣している北朝鮮もロシアとの協力に積極的だ。先月27日、プーチン大統領が1000億ルーブル(約4557億円)を投じ、2012年ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を開催すると発表したのに対し、北朝鮮のシム・グクリョン駐ナホトカ総領事は先月31日、「ウラジオストクのインフラ開発が始まれば、北朝鮮は主要建設事業に参加する準備ができている」とコメントした。

 ロシアはこのほかにもウラジオストク-清津間に送電線を建設し、北朝鮮に最大50万キロワットの電力を供給する案を韓国と協議している。またロシアは恵山・茂山など、北朝鮮の咸鏡道および両江道地域で鉱山の独占採掘権を得るため、中国と競争を繰り広げていると政府のほかの消息筋が伝えた。

 ロシアの北朝鮮に対する影響力拡大は、中国の脅威の増大によるプーチン大統領の極東重視政策と一脈通じている。プーチン大統領は昨年末、「極東に中国人の不法流入者が増え、ロシアの安全保障が脅威にさらされている」と警戒感を示したことがある。

モスクワ=権景福(クォン・ギョンボク)特派員

北京=李明振(イ・ミョンジン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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