【コラム】国民所得2万ドルとはいうけれど…(下)
そうではない。韓国社会でよく使われる経済指標だけでは、国民が肌で感じる経済状況を十分反映できていないために、こうした現象が起きているのだ。数字の上で達成された国民所得2万ドルという大台も、ウォン高が一役買っている。
経済協力開発機構(OECD)も昨年11月の報告書で「国内総生産(GDP)は経済活動の最も重要な指標ではあるが、GDPだけでは国民の生活の質を反映できない」と指摘した。その国の物価水準などを考慮した一人当たりの実質GDPを算出し、それでも不十分のため、個人消費支出などの指標も計算する。
こうした数値を見ると、「生活が苦しい」という韓国人の訴えはウソではない。韓国人一人当たりの実質GDPは2002年にOECD平均の73%だったが、05年には74%とわずかに上昇した。同期間、個人消費支出はOECD平均の60%から58%へと減っている。チェコ・ポルトガル・ハンガリーを下回る数値だ。
韓国経済の規模が世界第12‐13位だからといって、国民の生活も世界のベストテンに近づいているわけではない。OECD加盟国30カ国のうち、一人当たりの実質GDPは23位、個人消費支出は26位で、下位に属する。世界全体では国民所得40‐50位圏の中進国だ。
李明博(イ・ミョンバク)次期大統領も盧大統領の過ちを繰り返したくないなら、「747公約」のような大きな経済指標に執着する姿勢を捨てるべきだ。韓国経済は、数年で7%の成長を遂げれば、一人当たりの国民所得4万ドル(約426万円)時代が到来し、世界第7位の先進国として「ボーイング747」ジェット機のように飛び上がる、というわけではない。OECDは「今後15‐20年間で年平均5%ずつ成長を続ければ、韓国の所得水準はOECD平均に達する可能性もある」としている。
だから、国民を錯覚させるようなマクロ経済指標にだけこだわらずに、フランスの購買力という「物差し」のように、実感できる指標で韓国人の生活を測り、その質を改善する努力を続けて初めて、国民が真に望む「経済再生」が可能になるのだ。
パリ=姜京希(カン・ギョンヒ)特派員
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