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日本とアイルランドが示す「先進国入り」の教訓とは

【特集】韓国の先進国化に向けた課題と展望(4/4)

羅城麟教授
 中進国から先進国への仲間入りは世界的な一大事件だ。なぜならば、ここ100年の長い時間の中で、成功例がたった2つしかないほどに極めて可能性の低い出来事だからだ。日本とアイルランド、最近1世紀の間に中進国から先進国への進入に成功したこの2つの国は、われわれにどのような教訓を与えているのだろうか。

 日本は19世紀中盤の明治維新を経て中進国の列に加わり、20世紀初めには軍事的に先進国の仲間入りを果たしたが、第2次世界大戦で国土が焦土と化した。しかし極限の危機は、変化を通じて繰り返される先進化のきっかけとなった。

 戦後の改革(1945‐47年)により、日本の国政パラダイムは統制と計画中心の国家主義から、民主化と自由市場経済に転換された。憲法改正を通じた政治的民主化、行き過ぎた経済力の集中を防ぐ財閥解体、教育の機会均等などを基礎とした教育改革、実際に農作業をする農民に農地を与える農地改革、労働3法を含む労働改革などが断行された。日本はこうした先進化改革の結果として超高速成長を重ね、70年代中盤までには国民所得が先進国の水準に到達したが、日本経済は依然として中央集権と官僚主義の影響下にあった。

 これに対し80年代の中曽根政権は、大胆な教育改革と行政改革をはじめとした2段階先進化改革に着手したが、この改革にもかかわらず、日本は90年代の「失われた10年」を経験することになった。しかし、それをきっかけとした構造調整と2001年から始まった金融・教育・公共部門の改革を含む小泉改革以降、本格的に国家競争力を回復している。

 一方、アイルランドの先進化は超高速スピードで進んだ。1988年に1人当たり国民所得1万ドル(約122万円)を達成した後、96年には2万ドル(約243万円)、02年は3万ドル(約365万円)、05年には4万ドル(約487万円)を突破した。

 その核心戦略は、情報通信産業(ICT)を含む高付加価値産業の育成政策と積極的な外資誘致政策だった。こうした政策に呼応し、アイルランドは高級人材の育成に向けた教育競争力に力を入れ、法人税を12.5%にまで大幅に引き下げ、補助金を活用した。02年現在、1100以上の外国企業がアイルランドに直接投資しており、こうした外資誘致を通じて1人当たり国民所得2万ドルを達成した後も、毎年平均9%以上の高い経済成長率を記録している。

 また、87年には「社会連帯協約」を通じて、賃金引き上げの抑制と労使関係の安定を成し遂げ、政府は発展戦略という国家戦略に従い、教育、農業、社会福祉分野などで強力な経済改革を断行した。この改革は、政権が交代しても国家的な共感の下に継続され、94年の国家開発計画につながり、現在まで進められている。

漢陽大経済金融学部・羅城麟(ナ・ソンリン)教授

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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