ウォン高すすみ韓国の国民所得急上昇中
「1人あたりの国民所得2万ドル時代」が刻一刻と迫っている。
今年、韓国の1人あたりの国民所得(GNI)は1万6000ドルを突破するものと予想され、為替レートが追加で下がる場合、1万7000ドルに近付く可能性もある。
このような傾向が続けば、当初の政府予想より1年早い2007年頃にも、2万ドルを達成できるとの見方もある。
しかし、このような国民所得の増加傾向は、為替レートの変動によるところが強く、実際国民のポケットに入ってくる所得はほとんど変化していない。
▲「1人あたりの国民所得2万ドル」時代の光と影
2日、財政経済部などによると、韓国の1人あたりの国民所得は昨年は1万4162ドルで、年末には1万6000ドルを突破するものとみられている。昨年に比べ13%ほど増えるわけだ。
最近、韓悳洙(ハン・ドクス)経済副首相が「2007年には1万8000ドル、2008年には2万ドルを達成できると思われる」と重ねて述べているほか、信用格付け大手のムーディーズのトム・バーン副社長も「早ければ2年以内に2万ドルが達成できる見込み」との考えを示している。
しかし、1人あたりの国民所得が急増した1次的要因は、為替レートの変動にある。
昨年は平均1ドル=1146ウォンだったウォン・ドルレートは、今年に入り10月まで平均1ドル=1022ウォンまで落ち込んだ。ウォンの価値が12%も上昇したわけだ。
為替レートが変動しただけで、ドル表示される1人あたりの国民所得が12%も増えてしまう、いわゆる「トリック」にほかならないとの説明だ。
このような為替レートの変動を除いた実質国民所得はほとんど増加していない。すなわち、ウォンで計算すれば、今年の国民所得はほとんど増加しなかったということになる。
韓国銀行が2日発表した「第3四半期の国民所得」推計によると、第3四半期の実質国民所得の増加率は0.1%増にとどまった。
第1四半期の0.5%、第2四半期の0%に続き、3四半期連続で1%以下の成長率を記録、第3四半期までの累積実質国民所得は0.2%増にとどまった。
原油など輸入品の単価は上昇したものの、半導体など輸出品の単価は下落し、利子などで海外に流出した資金が増えたためだ。稼いだ給料で購入できる実際の商品数はそれほど増えていない、という意味だ。
▲物価を考慮した実質所得はむしろ減少
韓国の家計所得がどの程度増えているのかをみても、似たような結果が導き出される。
第3四半期のうち、全世帯の月平均所得は294万9000ウォンで、前年同期比2.1%増にとどまった。物価を考慮した実質所得で計算すると、むしろ0.2%減となる。今年初めから第3四半期までの統計をみても、月平均の家計所得は4%増にとどまる。
もし、今年第4四半期も家計所得が4%ほど増えると仮定し、一世帯の平均構成員が3.39人(昨年基準)である点を考慮すると、1人あたりの所得は1032万ウォンという計算になる。
国民の実質所得は依然として1万ドル水準を行ったり来たりしているとの話だ。
これは、半導体など一部産業の輸出品目が経済成長をリードしたことで、企業は多くの利益を得ている一方、個人の所得は依然として増えていないという構造にも、原因があるとされている。
全国民所得に占める(家計に帰る)労働所得の割合は、ここ6年間で50%台にとどまっており、先進国より10%ほど低い。国民所得のうち、勤労者の懐に入る分け前が、先進国に比べ少ないことを意味している。
韓国金融研究院のパク・ジョンギュ選任研究委員は「先進国でも2万~3万ドルを突破する際は為替レートの力を借りている」としながら、「雇用が増加し、家計収入が増えると、1人あたりの国民所得の増加を体感できるようになる」と説明した。
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