──
(この項目は、実際の掲載日は 11月13日です。)
ストリートビューの盗撮行為は、犯罪か? また、やったあとで公開を停止すれば、犯罪性を免れるか?
これについて、興味深い判決が出た。記事を引用しよう。
お尻を中心に、見知らぬ女性のズボン姿を携帯電話で撮影することは「卑猥(ひわい)」か――。──
この行為が北海道迷惑防止条例違反にあたるかどうかが争われた裁判で、最高裁第三小法廷は……(被告の)上告を棄却する決定をした。
決定によると、男性は06年7月、ショッピングセンターで女性客(当時27)のお尻を狙い、約5分間で11回、携帯電話のカメラで撮影した。「卑猥」な動作で「公共の場所にいる者を著しく羞恥(しゅうち)させ、または不安を覚えさせる」ことを禁じる条例に反するとされた。
5人中4人の裁判官による多数意見は「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らか」と判断し、有罪とした。
( → 朝日新聞 夕刊 2008-11-13 )
通常の出歯亀の覗き行為は、軽犯罪法における「窃視」には当たらないようだ。というのは、浴場の裸を見るのを禁止するのが、この法律の趣旨だからだ。
しかしながら、上記の条例では、盗撮行為は条例違反という犯罪になるようだ。しかも、「やめれば済む」ということもなく、「写真を廃棄すれば済む」ということでもない。行為そのものによって明白に有罪となる。
ここでは、犯罪性の理由に注意。なぜ犯罪になるかというと、
「公共の場所にいる者を著しく羞恥させ、または不安を覚えさせる」
からだ。要するに、撮影したことで女に恥ずかしい思いをさせてはいけない、ということだ。たとえ裸の撮影ではないとしても、恥ずかしい思いをさせること自体がいけないのだ。
────────────
さて。ここで、ストリートビューが出てくる。次の画像を見てほしい。(目の部分は隠した。)
( クリックして拡大 )
おやおや。女の尻が撮影されていますよ。 (^^);
そして、この女性はきっと、恥ずかしい思いをしているはずだ。自分の歩いている姿を勝手に盗撮されて、勝手に日本中に公開されてしまったからだ。しかも、顔がかなりよくわかる。近所にいる人なら、必ず人物の特定は可能だ。
( ※ 地図によって場所もわかっているから、この画像を見せて、近所の人に質問すれば、必ず、住所氏名がわかる。)
( ※ 仮に、この写真を見て、「美人だな、恋をしちゃった」と思った変態男が、ここに押しかけて、ストーカーになれば、この女性は確実に被害を受ける。)
──
ついでに、もう一つ。 (部分的に塗りつぶして、目隠しを入れた。)
( クリックして拡大 )
この写真には、尻でなくて前側が映っていますよ。それだけならまだしも、隣に男性がいる。プライバシー性が高い!!
──
ここまで暴露されたとわかれば、当の女性はきっと、「恥ずかしい」「いやだあ」「撮られて気持ち悪い」と思うはずだ。当り前ですね。
とすれば、Google は違法行為をしていることになるだろう。きっと。そう思いませんか?
[ 付記1 ]
ただし、本当に条例違反になるかどうかは、当のの女性のいる場所しだいだ。
上記の条例は、北海道。
一方、これらの女性が盗撮された場所は、ええと……ううむ、言っちゃっていいかなあ? 京都府と東京都です。
京都や東京都に似たような条例があるかどうかは、不明。もしあれば、Google は有罪ですね。
(1) 撮影による有罪
(2) 公開による有罪
どっちも成立しそうだ。
[ 付記2 ]
判決では、少数意見も付記されていた。
「覗き見など、条例が規定している他の行為と全く質的に異なる。お尻以外に背中なども写っており、一見して卑猥との属象は抱けない」
という趣旨。
ふむふむ。Google ならば、そう主張しそうですね。でも、少数意見なんですよ。残念でした。
[ 付記3 ]
なお、画像が公開されたあとで、「本人の申告を受けて画像を削除する」ということをしても、犯罪性は免責されない。そのことは判決から明らかだろう。
だいたい、そんなことが許されるなら、女風呂を覗き放題になるはずだ。「バレたらやめます」と言って。
> 見知らぬ女性のズボン姿を撮影する
と書いてあったが、今は「ズボン」でなく「パンツ」というんですよ。だから、
> 見知らぬ女性のパンツ姿を撮影する
と書いてほしかったですね。 (^^);