串本町の2007年度町病院事業会計決算は9974万円の赤字で、単年度の赤字額は前年度より約2400万円増えた。累積赤字は25億5332万円。内部留保資金は6489万円を取り崩し、2億7098万円になった。国保直営串本病院と国保古座川病院を統合し、2010年度中に新病院を開院する予定だが、内部留保金を取り崩す厳しい状況が続いている。 全体の事業収入は23億1432万円で、事業費用は24億1406万円。串本病院は事業収入14億3656万円に対し、事業費用14億8255万円で4599万円の赤字。古座川病院は事業収入8億7775万円に対し、事業費用9億3150万円で5375万円の赤字だった。 患者数は、外来が9万5959人(串本病院4万9189、古座川病院4万6770)で、入院が3万5581人(串本病院2万6556、古座川病院9025)。前年度と比べて外来で6777人、入院で7955人減った。 串本病院は、整形外科の手術が増えるなどで医業収益が前年度比3・1%増えた一方で、材料費や、古座川病院からの看護師の増員による給与費の増などで医業費用も6・73%増えた。また、06年度後半から、予約診療制にしたことなどが影響し、患者数も減った。 古座川病院は、外科の医師体制が不十分だったことなどから、医業収益で前年度比17・81%落ちた。一方で、看護師が不足した串本病院に看護師を異動するなど職員数は前年度の73人から07年度末で55人に減らし、給与費を13・8%減らした。 両病院は統合し、10年度に開業を予定している。建設費などオープンにかかる事業費用は約56億円を見込んでいるが、すべて起債で賄う計画で、財政不安もある。病院建設マスタープランでは、事業費の4分の3を病院事業債で、残りの4分の1は一般会計からの繰り入れ(過疎債や合併特例債)で賄う予定という。 医師の確保も課題。現在、常勤医師は串本病院が内科3人、外科3人、整形外科3人、産婦人科1人、古座川病院が内科3人の計13人。マスタープランでは新病院の常勤医師は15人だが、新設する脳神経外科の常勤医師1人は確保が難しいという。新病院では、おおむね近畿大学を中心に派遣してもらう予定になっており、町は今後確保に努めたいとしている。 新病院の建設場所は同町サンゴ台で、敷地面積は1万3600平方メートル、延べ床面積9734平方メートル。4階建てで、病床数は130床。08年度は実施設計をし、今年9月から土地造成工事をしている。