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広がる大麻汚染:(3止) 低い心理的ハードル、薬物依存の入り口

 薬物依存症の患者約100人が入院治療を受けている群馬県渋川市の薬物・アルコール依存治療施設「赤城高原ホスピタル」(竹村道夫院長)。その一人で、神奈川県から来た女性(28)は、この秋入院したばかりだ。

 5年前、知人に勧められ大麻を吸った。「心と体がふわっと軽くなり、ストレスや疲れが吹き飛んだ」。覚せい剤などで出る幻聴や被害妄想などの強い副作用もなく、週に1度、知人と楽しんだ。

 ところが、友達とのトラブルや仕事のストレスが重なり回数が増えた。数カ月後、吸った直後に自宅マンション4階から飛び降りた。「吸ったら死にたくなり、やけになった」。全身6カ所を複雑骨折しながらも命は取り留めた。退院後、大麻はやめたが、新たに睡眠薬や精神安定剤などの大量服用を繰り返して依存状態になったという。

 「大麻を使わなければ、こんなことにならなかった。心も体もボロボロ。今は後悔だけ」と女性は振り返る。

 竹村院長によると、最近の入院患者の5割近くが大麻使用の経験があった。竹村院長は「以前はシンナーをきっかけに覚せい剤の依存に行き着くケースが多かったが、最近は大麻がきっかけという患者が急増し、特に10~30代の若者に目立つ」と指摘した。

 若者の心理に詳しい野田正彰・関西学院大教授(精神病理学)は「大麻を使うのは経済的に恵まれた若者が多いように思う。社会や他者に無関心で人生の目標も見いだせないままの若者が、生きている実感や感覚的な刺激を求めて大麻に走っているのではないか」とみている。

2008年11月14日

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