【コラム】心にカミソリを隠し持った盧大統領(下)
また盧大統領が議員当選後初めて国会で行った質問で一定の成功を収めたのも、本人のその後に大きな影響を与えたようだ。盧大統領はその際、「今でもまだ経済発展のために労働者が犠牲となっているが、これが果たして正しいことなのか。正しいと思っている人たちに言いたいことがある。あなたたちの子どもを死なせてごらんなさい。国の経済を発展させるため、あなたがたの子どもを現場で死ぬまで働かせてはどうか」と語った。盧大統領は「その後、激励の電話がひっきりなしにかかってきた時の興奮を今も忘れられない」と書いている。この時の経験により、盧大統領はかつてカミソリを振り回した時と同じ衝動を抑えるたがを失ってしまったのだろう。
盧大統領は貧しい幼年期を過ごした。盧大統領は別の著書の中で、「場合によっては逆境の中で人間性や健全さをはぐくむ人もいる」と書いた。リンカーン大統領もそうした人物の一人だった。しかし一部の人々は逆境にあって憎悪や恨みばかりをため込んでしまう。そうした例として、ニクソン大統領をあげることができる。リンカーンはニクソンよりももっと貧しい境遇で育ったが、国家分裂の危機を乗り越え、米国史上もっとも偉大な大統領となった。ニクソンは貧しい中から身を起こし、私立名門大の法学部を卒業している。しかし生涯にわたって被害者意識にとらわれ、周囲への恨みを克服できなかったことから、米国史上もっとも評判の悪い大統領となってしまった。
韓国には「貧しい環境で生まれた英雄」に共感し、歓迎する雰囲気がある。だから大統領選挙のたびに各候補者は「わたしもかつて貧しかった」と語る。盧大統領も「庶民派大統領」を売り物に当選を果たした。庶民から誕生する英雄は数多い。問題は、その中に憎悪の炎を隠し持った英雄も含まれているということだ。
楊相勲(ヤン・サンフン)論説委員
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